馬場有浪江町長に聞く 帰還...戻る戻らない『選択』を最大限尊重

 
インタビューに答える馬場町長

 震災、原発事故から6年を迎えるのを前に、馬場有町長はこれまでの思いや今後の展望を語った。

 ―震災から6年が経過した。
 「長かったのか、短かったのか分からない。克服すべき課題が毎回、毎回出てきて、いろいろ大変だった。克服して一つの山を越えると、また山が見えてきた。解決したのかけじめが付かず、連続的に問題が発生する。そういう感じだった」

 ―今後の重要課題は。
 「意向調査などを見ると、戻る人と戻らない人、判断がつかない人がいる。戻る人に対しては町内で安全、安心にできる環境は早く回復していかなくてはならない。戻らない人には生活支援について今まで通り継続していきたい。判断がつかない人にはいろいろ情報を開示する。選択肢はその本人にある。それを最大限に尊重し、帰還できるような形に持っていけたらいい」

 ―課題をどう解消していくか。
 「一番は町に対する財政支援。住宅確保についても、除染のフォローアップにしても国と県の支援が必要。いろいろなまちづくり、町内で事業再開する人たちに財政支援がないと再開できない。特別に優遇する支援をお願いしたい」

 ―思い描く将来像は。
 「ありふれたことだが、笑顔で生活できる空間というか、そういうものが充実した環境が必要。古里で働きたいという声も今までよりは聞こえてきた。以前は『そんなことできんのか』とか、『本当に戻って就労の場所なんかできるのか』とかあった。最近は小さい声だが、『戻って事業をやってみたい』とか、『町に骨をうずめたい』という人はいる。帰還初期の段階で不便だというのは大変申し訳ない。利便性の向上に努めていきたい」