【ニュースを追う】復興公営住宅 過不足のない住宅提供が課題

 
4月に避難者の入居が始まった復興公営住宅=福島市・北沢又団地6号棟

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難者向けの復興公営住宅で3月31日現在、県が管理を始めた2807戸のうち95.8%に当たる2691戸が入居中または今後入居する予定の「入居決定」となっている。一方、募集段階では高倍率の人気住戸から応募ゼロまで偏りが目立つほか、空き住戸もあり、過不足ない住戸提供が課題となっている。

 県が4月に公表した復興公営住宅の中間応募状況で第4期、第5期の再々募集分の倍率が1倍を下回り、空き住戸が生じる可能性が出た。倍率は最大9倍に上る住戸がある一方、応募ゼロもあった。

 県は住民の意向調査などを踏まえ、2013年12月に復興公営住宅の全計画戸数を4890戸(県分4485戸、市町村分405戸)と決め、整備を進めているが、避難生活が長引く中、避難者の意向が変化するなどしてミスマッチが生じている。ミスマッチの要因については、全計画戸数を決めた後に東電による住宅確保費用の賠償が提示されたことや、帰還困難区域の避難者が仮設住宅で当面の間生活することを選択していることなどが挙げられる。

 今月10日の第4期、第5期の応募受け付け終了により、空きが出ないよう募集を保留している156戸を除いた県分4329戸の募集を一通り終えた。今後は避難指示が出ている地域の避難者を対象に再度、空き住戸への入居者を募る。

 それでも空き住戸がある場合について県は「入居対象を避難指示が解除された地域の住民に拡大するか検討していきたい」としている。入居率の向上はコミュニティー構築の観点からも重要で、県には柔軟な対応が求められそうだ。