汚染水との闘い続く福島第1原発 トリチウム水処分方法課題

 

 事故発生から6年半。東京電力福島第1原発は依然として大量の汚染水との闘いを強いられている。

 汚染水は1~3号機の溶融核燃料(デブリ)の冷却により発生するほか、建屋内への地下水流入で増えている。浄化しても放射性トリチウムを除去することはできず、トリチウム水の処分方法が課題となっている。

 トリチウム水は現在、約600基のタンクに約80万トン保管され、日々増え続けている。水と性質が近いトリチウムは62種類の放射性物質を除去できるALPS(多核種除去設備)でも取り除けない。東電は今後2年分のタンク置き場を確保したが、タンクからの水漏れの危険性は残される。

 処分方法を巡り政府は、水で薄めて海洋放出する方法が最も短期間に低コストで処分できるとの報告書をまとめている。ただ県内漁業者の風評への懸念は根強く、実現へのハードルは高い。東電の川村隆会長が7月の報道各社のインタビューで海洋放出の判断を「もうしている」と発言して波紋を呼んだ経緯もあり、今後の動向は不透明だ。