「補助金」活用し事業拡大...目覚ましい成長 震災前上回る生産

 
「補助金がなかったら、ここまで成長できなかった」と語る鈴木社長

 【福島・鈴商グリーン】業務用カット野菜の製造を手掛ける福島市の鈴商グリーン(鈴木正志社長)は2013(平成25)年に「ふくしま産業復興企業立地補助金」を活用して新工場を建設。売り上げを約1.5倍、従業員数を約2倍に増やすなど、目覚ましい成長を遂げている。

 新工場の最大の特徴は、最新設備による徹底した衛生管理。指の静脈認証システムで人の出入りを制限するほか、仕入れた野菜の保管から商品の出荷まで厳しく温度管理し、安全で高品質な商品を提供している。

 14年4月には大手コンビニの弁当や総菜を製造するメーカーから受注。安全基準の厳しい企業と取引を始めたことで信頼が高まり、次々と新しい仕事が舞い込むようになった。鈴木社長は「補助金がなかったら工場の設備に妥協せざるを得なかったし、設備に妥協していれば取引先の要望に応えられず、ここまで成長することはできなかった」と振り返る。

 今後、さらなる事業拡大と雇用創出を模索しており、同社の経営理念「期待以上の最大の満足を提供する企業」の実現を目指す。

 従業員の意識改革に

 【いわき・フィアビラジャパン】「震災が会社を強くしてくれた」。ネイルエナメル商品の製造、OEM生産を手掛ける、いわき市のフィアビラジャパンの原章社長(71)は力を込める。「ふくしま産業復興企業立地補助金」を活用した設備投資が従業員の意識改革にも直結し、震災前を大幅に上回る生産能力を生み出している。

 2001(平成13)年、フランスのパリ・フィアビラ社の製品を扱う企業として設立。フランスで製造したネイルエナメルを輸入し、商品を生産する形で、大手化粧品メーカーから受託するOEM生産も多い。

 補助金を活用した14年の第2工場新設をきっかけに、働く環境も大きく変化した。「一人5役」や労働時間の短縮、能力給導入など従業員の意識と満足度を高める労働サイクルの確立が製品の品質向上につながり、信頼度も高まった。

 「従業員の雇用を守るために商品供給を続ける」という震災当時の思いが、攻めの設備投資と働き方改革につながった。創業以来、徹底している「コストは安く、商品のレベルは高く」はそのままに、さらなる活路を生み出して震災直後の注文ゼロの窮地を救った。