工場新増設は順調に推移 立地補助金活用、6000人超雇用創出

 

 県内に工場の新増設などを予定する企業を対象にした「ふくしま産業復興企業立地補助金」はこれまで505社に計約2035億円が交付され、県内全域で6316人(見込み)の雇用を生み出している。同補助金の効果で県内への工場の新増設も震災直後のピーク時ほどではないものの、おおむね順調に推移している。

 同補助金は震災復興を目的に2012(平成24)年に創設された。地元からの新規雇用などを条件に補助金を交付する制度で、12~17年に1~10次公募を行い、輸送用機械や半導体、医療福祉機器、再生可能エネルギー関連などさまざまな業種の505社が交付を受けた。交付企業の地域別内訳は県中が最多の132社で、いわき94社、県北90社、相双61社、会津58社と続き、南会津は5社で最も少ない。

 県内への工場(敷地面積1000平方メートル以上)の新増設状況をみると、同補助金創設の影響で12年、13年には100件を超えるなど高水準で推移している。しかし、昨年は半数以下の47件となるなど、補助金を活用した工場の新増設が一段落したとの見方もある。

 ただ、今年1~9月の工場立地届け出件数は47件(うち約4割が立地補助金を活用)に上り、昨年1年間の件数に並ぶなど再び増加傾向もみられるため、県は「今後の動きを注視していく必要がある」としている。

 優遇税制も産業後押し

 県内への企業立地を促進するための支援策はほかにも、国による企業立地補助金や復興特区制度として課税の特例措置(優遇税制)などがある。県は産業復興の柱に位置付ける再生エネや医療機器、ロボット分野などを中心に、関連企業の集積を目指している。

 立地補助金は、県による「ふくしま産業復興企業立地補助金」のほか、原発事故で避難指示が出た12市町村を対象にした国の「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」と、津波や原発事故で甚大な被害があった地域の産業復興加速のための「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」があり、それぞれ県内の産業復興を後押ししている。

 また、県内では浜通りを新産業拠点とする福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の拠点整備が進む。今年5月には改正福島復興再生特別措置法で同構想が国家プロジェクトとして位置付けられ、今後さらに本県産業の復興加速が期待される。