「毎時0.23マイクロシーベルト」実測値基に提言へ 放射線審検証

 

 震災と原発事故から間もなく7年となり、国の放射線審議会は空間放射線量「毎時0.23マイクロシーベルト」の妥当性を検討する議論を始めた。本県の住民らの被ばく線量を実測したデータなどを検証し、関係省庁への提言をまとめる方針だ。

 議論のきっかけは更田(ふけた)豊志原子力規制委員長の発言だった。更田氏は1月17日の規制委の定例会合で、毎時0.23マイクロシーベルトについて「事故当初は手探りで実証データも少なく、保守的な値が設定されることは致し方ないところもある。だが、それをいつまでも改めないのは大きな問題だ」と指摘。「毎時1マイクロシーベルトの場所に居住しても年間被ばく線量は1ミリシーベルト以下になる。科学データに基づき更新しないと帰還や復興を阻害する」と実態に即した見直しが必要と強調した。

 放射線審議会では空間線量と実効線量の関係性を中心に、食品基準など原発事故後に策定されたさまざまな放射線基準の妥当性を議論。関係省庁へのヒアリングを通じ、運用の実態や事故後に蓄積されたデータを整理していくとみられる。

 更田氏の発言について内堀雅雄知事は「まずは原子力規制庁と環境省で検討されるべきもの」とし、議論の動向を注視する構えだ。その上で「議論の過程の中で県内の関係団体と丁寧に協議することが大切だ」と求める。一方、毎時0.23マイクロシーベルトを基準とせず、先行して除染に取り組んだ伊達市の半沢隆宏放射能対策政策監は「除染はスピードが命。基準ではなく、いかに線量を下げるかだ。『0.23』の目標などはナンセンス」と議論にくぎを刺す。