課題多い「県外最終処分」 中間貯蔵施設、最長で30年間保管

 

 県内の除染で出た汚染土壌などを最長30年間保管する中間貯蔵施設の使用は、2015(平成27)年3月13日に始まった。政府は法律で「使用開始後30年以内の県外最終処分完了」を定めており、45年3月12日までに同施設から全ての廃棄物を搬出し、県外最終処分しなければならない。

 しかし、県外での最終処分へ課題となるのは、最大貯蔵量約2200万立方メートル(東京ドーム18杯分)と推計される土壌や焼却灰など廃棄物の膨大な量。放射性物質を含む廃棄物である上に、最終処分する量が推計通りであれば、再び県外で広大な用地を確保する必要がある。

 県外最終処分のハードルを少しでも下げるため、環境省は16年6月、放射性セシウム濃度が基準値以下となった土壌などを全国の公共工事で再利用し、最終処分の量を減らす基本方針を決めた。南相馬市では既に再利用の実証試験が行われているほか、二本松市や飯舘村での実証試験に向けた調整が進められている。

 同省は、熱処理や洗浄処理などで放射性セシウムを分離し、土壌の濃度を下げる新たな技術の開発などで、最終処分の量を相当減らせるとみており、24年度をめどに基礎技術の開発を完了する戦略を立てている。

 戦略では、最終処分地の調査や検討は25年度以降としており、最終処分の実現はまだ不透明なままだ。