廃炉推進カンパニー・羽鳥マネージャーに聞く 調査結果活用が鍵

 
「できることをやっていくことが第一」と話す羽鳥氏

 溶け落ちた核燃料(デブリ)を確認した1月の福島第1原発2号機の内部調査。作業に携わった福島第1廃炉推進カンパニーの羽鳥正訓燃料対策・冷却設備部燃料調査グループマネージャー(45)に当時の調査状況などを聞いた。

 ―内部調査ではどのような作業に携わり、どんなところに苦労したか。
 「作業全般の現場の設定などを担当した。(内部をカメラで)撮影する際、『ここを見たい』と止めるポイントを確認した。10メートルほどのパイプを操作しながら格納容器の中に挿入したが、重さは約200キロ。人身災害がなかったのが何より。カメラは1個しかなく、ちょっとでも付着物が付くと見えない。十分に注意してできた」

 ―デブリが確認された今回の調査は成功か。現場はどんな様子だったか。
 「正直、成功したと言いたい。今後は調査結果をどう使えるかがポイントになる。一番の成果は今まで見られなかったペデスタル(原子炉圧力容器を支える台座)の下側の状況が見えたこと。次の廃炉作業に向けた大きな前進だ。デブリが確認された時は皆、淡々と作業していた。私はモニターを確認中に燃料集合体の一部が見えた時、記憶にある象徴的な形だったので興奮した」

 ―廃炉作業は長期にわたる。作業員の意欲向上にどう取り組むか。
 「一体感の醸成が大事だ。例えば今回の内部調査でカメラを遠隔操作する人は緊張するため、肩の力を抜くことが大切になる。そのため操作室内では分け隔てなく会話もした。もちろん操作中は話し掛けないが。操作室内は緊迫したイメージを持たれると思うが、緊張すると良い仕事はできないと思っている」

 ―廃炉への決意を。
 「住民が避難している状況の中、われわれができることをやっていくことが第一。震災を経験していない社員も入社し、廃炉への志が非常に高い。この人たちの夢を壊してはいけないと思っている」