【第2原発ルポ】「これが健全な状態」 静けさが漂う格納容器内

 
東京電力福島第2原発4号機の使用済み燃料プール

 県や県議会が全基廃炉を求める東京電力福島第2原発。だが存廃の方向性は示されないままだ。福島第1原発事故から7年を迎えた今、第2原発の現状を取材し、社員に話を聞いた。

 第2原発は震災時、1~4号機全てが自動停止したが、原子炉の冷却に重要な「海水熱交換機建屋」が津波で浸水。浸水を免れた3号機を除く原子炉の冷却が喪失した。

 1号機の海水熱交換機建屋に入った。浸水した電源盤が残されていた。中には砂が入ったままで津波の威力を物語る。建屋内にはモーターの電源を確保するために敷設したケーブルがあった。約25キロの重さは肩にずしりと響いた。震災直後、社員ら約200人はケーブルを担いで全長約9キロにつないだ。1カ月以上かかる作業を約30時間で終わらせたという。

 1~4号機では原子炉内から全て核燃料が取り出され、使用済み燃料プールでの冷却が続く。燃料交換などを行う4号機の「オペレーティングフロア」に入る。燃料プールが見え、安定的に冷却されている様子が分かった。

 その後、燃料が取り出された原子炉格納容器内に移動。毎時70マイクロシーベルト。制御棒駆動機構がつららのように垂れ下がり、静けさが漂う。「これが健全な状態なんだ」。建屋が損壊した福島第1原発とは全く異なる様相が、逆に水素爆発の恐ろしさを物語る。

 第2原発で働く人は約2500人。事故後は福島第1原発から10キロという近接性を生かし、タンクの組み立てや消波ブロックの製作、作業服の洗濯など後方支援を担う。全基廃炉を望む声が多い中、社員はどんな思いなのか。田中和夫広報部長は「今、取り組んでいる使用済み燃料をしっかり管理することに変わりはない。(住民が)帰町されている状況の中、妨げになってはならない」と強調した。