「相馬福島道路」広がる商圏へ期待 恩恵感じられず危惧する声も

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人気を集める道の駅伊達の郷りょうぜん

 国が復興支援道路として整備を進めている東北中央道「相馬福島道路」。福島―相馬間の総延長約45キロのうち61%が完成、来年度には常磐道と接続する相馬―相馬山上インターチェンジ(IC)間が開通する。相馬玉野―霊山ICは3月10日の開通から3カ月が経過、道路環境が格段に良くなったことで観光交流人口の拡大など開通効果が出始めている。一方で恩恵を感じられない地元の経済関係者らからは、観光や経済の「通過地点になる」と危惧する声も出ている。

 減少した観光客回復

 相馬市の観光名所、松川浦にほど近い和田観光いちご園。東日本大震災後に減少したイチゴ狩りの来場者数は今季(1月14日~5月31日)、目標の2万人台に回復した。同園を運営する和田観光苺組合の岩本孝組合長(70)は「相馬福島道路の区間延伸が大きな要因」と説明する。相馬玉野―霊山IC間の開通が大台回復の後押しとなり、震災前の3万人も現実的な数字として見えてきた。

 開通効果が表れているのは同園だけではない。海鮮丼などを扱っている松川浦沿いの飲食店「お食事処 たこ八」。相馬玉野―霊山IC間の開通から5月の大型連休にかけて来店客が増加、週末になると駐車場は車でごった返した。来店した人は前年度比2~3割の増。駐車場には、これまで目立たなかった「山形ナンバー」が見られるようになり、開通した東北中央道福島大笹生―米沢北ICを使った山形県からの観光客が一気に増えた。店を経営するカネヨ水産3代目の小野芳一さん(35)は、松川浦と太平洋の間を周遊できる市道大洲松川線再開通との相乗効果も大きかったとしている。

 霊山ICのある伊達市にも恩恵が表れている。霊山ICに隣接する「道の駅伊達の郷りょうぜん」。3月末の開業から6月上旬までの来場者数が50万人を突破、酒井祐一駅長(44)は「浜通りからも来場が多い」と強調する。福島、相馬両市からの問い合わせが寄せられ、駐車場には「山形」「宮城」ナンバーの車が止まる。また、霊山ICに近いゴルフ場「パーシモンカントリークラブ」では相馬市など浜通りからのゴルファーが増加。斎藤誠支配人(48)は「開通前に来てもらえなかった人が来ている」と驚く。

 波及効果に大きな差

 「開通効果を感じられない」との声も聞こえる。相馬市の松川浦観光旅館組合によると、宿泊者数に大きな変化はなく、開通が宿泊者の増加に結び付いていない。

 今夏に海開きを控える同市の原釜尾浜海水浴場の再開効果に期待を寄せるが、試験操業の漁獲量増加による海産物の提供や潮干狩りの再開など、訪れた観光客を同市にとどめる仕掛けづくりが地元で重要となっている。

 伊達市では霊山IC周辺以外の地域で実感できるほどの効果が見えてこないのが現状だ。伊達市・保原町商工会の担当者は「市の中心部までは波及していない」と明かす。

 市の担当者は「周辺自治体と協力して人を呼び込みたい」とするが、具体的方策は固まっておらず、地元の経済や商工などの関係者からは「市として、もっと積極的に人を呼び込むように動いてもらいたい」との不満の声が漏れる。

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