「健康課題」浮き彫り...避難で生活習慣に変化 高齢者中心に影響

 

 東日本大震災は11日で発生から7年半。今も約5万8000人が各地で避難生活を続けている。全国で高齢化が進む中、岩手、宮城、福島3県の被災自治体の8割超で、65歳以上の人口が全国平均よりも高い。災害公営住宅で誰にもみとられず亡くなる「孤独死」も多いまま。インフラが整備される一方で、高齢者を見守るコミュニティーの再生は依然として課題だ。

 福島県では4万4008人(県内1万591人、県外3万3404人、避難先不明13人)が避難生活を送っている。避難生活の長期化に伴う生活習慣の変化で、高齢者を中心に健康への影響が指摘されている。

 厚生労働省が発表した65歳以上の高齢者が今年4月から3年間に支払う介護保険料(月額)をみると、保険料の高い自治体上位10位に東日本大震災で被災した本県の7町村が入った。葛尾村の9800円が最も高く双葉町が8976円と続き、全国平均の5869円と大きな差が付いた。

 長期避難で家族分離が進み、家族による介護ができなくなった影響や、仮設住宅への避難で運動の機会が減るなど、本県特有の健康課題が浮き彫りになった形だ。このため県は介護予防に力を入れる。市町村の自立支援型事業を支援するため、作業療法士や理学療法士ら専門家が参加した個別ケア計画を策定、高齢者の自立を進める考えだ。