「営農再開」16市町村4606ヘクタール 福島県・目標面積の43%

 

 原発事故に伴う避難指示や水稲の作付け制限のあった浜通り、県北地方などの16市町村で営農を再開した面積は3月末現在で4606ヘクタールとなった。県が2020年度までの目標に掲げる面積の43%に当たり、県農業振興課の遠藤保雄主幹は「さまざまな支援策が数字に出てきた。ただ、取り組みの効果が広がるには時間がかかる」と見通す。

 営農再開では、特に風評被害の影響を受けにくい花卉(かき)の栽培が本格化。相双地方の気候に適したトルコギキョウの生産が拡大しているほか、川俣町では避難指示が解除された山木屋地区などで南米原産の花アンスリウムを栽培している。

 水稲は本年度から家畜の餌に使う飼料用米の実証栽培が相双地方で始まった。比較的負担のかからない飼料用米は営農再開の起爆剤として期待されている。

 一方、避難の長期化で地元に帰還する生産者が限られ、人材確保や生産性向上が課題となる。県は農地やハウスの整備に加え、法人化などによる生産規模の拡大を後押ししており、遠藤主幹は「本県の担い手不足は他地域より顕著となっている。意欲のある生産者に農地が集まる枠組みづくりが必要だ」と強調する。