町職員中心に「分団」組織 帰還者多くは高齢者、現役世代少なく

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万が一の事態に備え、訓練に当たる団員=浪江町消防団第7分団

 【浪江町】東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が昨年3月に解除された浪江町。居住人口は約870人(11月末現在)で帰還者の多くは高齢者だ。防災・防火に当たる消防団を担う現役世代は少なく、消防団員の帰還も進んでいない。

 町消防団は避難先から団員を招集するのが難しいと判断、町役場で働く職員を中心にした第7分団を昨年4月に組織した。現在はラッパ隊員を含め20~40代の職員ら28人が所属する。

 第7分団には東日本大震災前に消防団を経験した人はおらず、文字通りゼロからのスタートとなった。分団長で住宅水道課住宅係長の佐藤秀和さん(46)は「基本の動作が何よりも大事。それを身に付けないと現場でけがをしてしまうこともある」と話す。基本の姿勢から学び始めた団員。ポンプ操法の訓練では今年の初めに、ようやく放水まで進んだ。

 昨年度は週に1回、冬場は2週間に1回の訓練をしたが、本年度は訓練の回数が減った。「各職場から参加しているが、業務過多で、訓練に参加することが難しくなっている」と佐藤さんは人のやりくりの難しさを明かす。

 現在、ほかの分団が交代で毎週日曜日に行っている町内パトロールに参加しており、幸いにして出動機会はない。佐藤さんは「火災現場に遭遇した場合、きちんと対応できるのかどうか」と不安を口にしながらも「訓練を積み重ねていくしかない」と、自らに言い聞かせるかのように語った。

 埼玉から移住・小沢さん「復興の力に」

 【楢葉町】仮設住宅と借り上げ住宅の無償提供が終わり、住民の帰還が進む楢葉町。消防団員の確保が課題となる中、「復興の力になりたい」と県外から移住した人が消防団に入団した。

 消防団と今春組織された機能別消防団には約240人が所属している。ただ町外で働く団員や、町外から町の会社に通っている団員も多く、実質的に消防活動に参加できる団員は2~3割にとどまるという。団員数こそ東日本大震災前と変わらないが、団員が不足しているのが実情だ。

 埼玉県出身の会社員小沢隆司さん(39)は2年前、妻の古里である町に夫婦で移り住み、昨年10月に入団した。震災前に仕事で富岡町に住んでいたことがあり、当時、親しくなった団員の友人を震災で亡くしたという。再び双葉郡に住むことになり「彼の分まで頑張ろう」と入団を決意した。

 感じたのは団員数の少なさだった。「自分の住む地区には、ほかに町職員の団員がいるだけだ。消火活動に携わるのは難しい」と話す。広野町で「レスキュードローン」の開発に携わる小沢さんは消防団の活動を通じて「先端技術を取り入れ、効率化できる余地がある。人手不足を補うことができるかもしれない」と提案する。「先端技術などの産業を根付かせ、町の復興を担う仕事に就ける環境になれば若者も増えていくはずだ」と期待を込める。