「送電網」20年から一部運用 利活用課題、阿武隈山地や沿岸部

 

 順調に普及が進んでいる再生可能エネだが、発電した電力の利活用が課題だ。

 原発事故後の再生可能エネ普及で当初課題となっていたのは太陽光や風力発電の新設計画のある阿武隈山地や沿岸部は十分な送電網がないことだった。県などが出資する「福島発電」と東京電力、東邦銀行が出資する「福島送電」が昨年2月から送電網整備に着手。今年1月には経済産業省から送電事業の許可が出た。

 送電網は太陽光17カ所、風力13カ所と連携する予定で、県の見込む再生可能エネ導入の上昇の多くがこの送電網によっている。送電網は東電の送電網と接続。発電業者と、福島送電、東電ホールディングス傘下の東電パワーグリッドが固定買い取り価格での売買契約を結ぶことなどが想定されている。福島送電は2020年1月から、阿武隈山地や沿岸部に整備中の送電網の一部で運用を始める見通し。ただ再生可能エネの固定買い取り価格は年々下落しており、再生可能エネに投資する価値をどう示していくのかが関係機関の課題となる。

 09年にスタートした住宅用太陽光発電の固定価格による買い取りは、19年度から買い取りが終了となる世帯が出てくる。買い取り目的ではなく自家消費を目的とした太陽光導入を進める施策も必要となりそうだ。