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福島県内唯一の男性家庭科教諭の末松孝治さんが福島大で講演

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末松孝治学法福島高教諭

 県内唯一の男性家庭科教諭の末松孝治学法福島高教諭による「人生で大切なことはすべて家庭科で学べる」をテーマにした講演会が、福島市の福島大で開かれ、末松教諭自身が実践する授業や、家庭科教育の重要性を語った。

 ■ お金を使わせる仕組み    

 講演会は、同大学家庭科教育研究室と、生活やものづくりの学びネットワーク福島が主催した。  

 末松教諭はまず、自身が取り組む授業の「二つの柱」を紹介。一つ目は、教科書から得たテーマを発展させ、生徒に考えてもらうという「教科書で教える」授業だ。  

 家庭経済の分野では、家計を中心としたお金の流れや自立した消費者について学ぶために、世の中にある「お金を使わせる仕組み」を知ることが必要だという。  

 そこで取り組むのが「T字ワーク」。紙に「T」の字を書き、その上に欲しい物、左側にメリット、右側にデメリットを10個以上書き出していく―という作業だ。  

 例えば「スマートフォンの購入」ならば、メリットは「通信速度が速い」「デザインが良い」、デメリットは「金額が高い」「今持っている物がまだ使えるからもったいない」など。それを見て検討すると、最初は購入を前提に考えていたが、最終的に買わないという結論を出した生徒も多かったという。  「賢い消費者になるための『考え方』は教科書に書かれていない。頭の中で考えるよりも、実際に書き出すことで熟慮熟考できるようだ」と末松教諭は話す。

■ 教科書と経験リンク    

 末松教諭がもう一つの柱として挙げたのは「自身の体験や経験を教科書とリンクさせて伝える」こと。経験値の少ない生徒たちに、真実味を与え、イメージしやすく伝えるための工夫だという。家庭生活の分野では、家庭環境の違いによる価値観の多様性や、家事の分担、家族の家事労働に対する感謝の大切さなど、自身の家庭における経験を例に紹介。保育の分野でも、実際にわが子を育てるなかで得た気付きや実感を交え、教科書の内容を伝えているという。

■ 震災で重要性再認識   

 震災や原発事故が発生した当時、南相馬市で勤務していた末松教諭は「震災から学んだ、家族や郷土の絆、お金の価値観、いざというときの保険、災害対策、環境問題などさまざまなことは、実はすべて家庭科の分野だった」と話し、震災の経験は、家庭科の重要性を再認識するきっかけになったという。  

 さらに末松教諭は近年、学校教育のなかで家庭科が縮小傾向にある状況を危惧する。「家庭科は幸せに生きるための必修科目。一人でも多くの人に、家庭科は今後の日本の教育において大切な教科であると知ってほしい」と訴えた。