郡山で活用シンポジウム(上) 関口修司氏が基調講演

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
「日常的に新聞に親しむ取り組みが重要」と話す関口氏

  社会に関心意識変化 「NIEの教育効果を測る-可視化から分かること」

 「教育に新聞を(ニュースペーパー・イン・エデュケーション=NIE)」運動に取り組む県NIE推進協議会が、7月15日に郡山市で開いた「教育に新聞を! NIEの活用シンポジウム」では、教員や報道関係者らが小、中学校や高校の教育現場での新聞活用について意見を交わした。日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司氏が「NIEの教育効果を測る―可視化から分かること」をテーマに基調講演し、各校の教諭らが実践例を発表した。シンポジウムの様子を2回に分けて紹介する。初回は関口氏の基調講演で、校長として現場でNIEを実践した例が示された。講演要旨次の通り。

 文部科学省などの読解力調査で、問題文を読み解けば当たり前に分かるであろう問題の正答率が高校生で7割、中学生で6割だった。教科書の文章の5割を理解していないというデータもある。活字に触れる機会が急速に減少し、子どもの読解力は落ちている。若年層の投票率の低さも大きな問題だ。

 日本の中高生は自己肯定感や社会参画意識が低い。ある調査では、高校生の8割が自分は「ダメ人間」だと答えた。読書量も少なく、1カ月に全く本を読まない高校生は5割に上る。

 一方、高校生のスマホの使用時間をみると男子が1日平均3・8時間、女子が5・5時間、一番長くて20時間だ。生活の中で10~15分、スマホをいじる時間を学びの時間に振り替えられないだろうか。

 「子どもたちの65%が今は存在していない職業に就く」「今後10~20年程度で47%の仕事が自動化される可能性が高い」などとされる。これから答えのない時代、答えが予測できない時代を生きていく子どもたちは、応用力や想像力を身に付けなければいけない。フェイクニュースが蔓延(まんえん)し、真実より感情が優先される時代になりつつあるなか、それが正しい情報なのかを疑い、判断する力も必要だ。それには新聞が役に立つ。

 全国学力テストで、新聞を読む子どもの平均点は高く、学力の高い子どもは新聞を読んでいるという相関関係が明らかになっている。しかし、新聞を読むから学力が上がるのか―という因果関係は分かっていない。それにはNIEに取り組む前後を比べる必要がある。

 私は東京都内の3小学校で校長を務め、学校を挙げてNIEに取り組んだ。民間の基礎基本調査でNIEの教育効果を検証すると、NIEの前後で国語や算数の成績が大きく伸びた。NIEで身に付く読解力は国語だけでなく、全ての教科に影響してくる。社会の出来事や読書などに関心を持つなど意識の変化も見られた。3校で同じような成果が出た。

 NIEは子どもの学ぶ力を確実に伸ばすが、たまに新聞を切り抜いて使っても学力に影響は出ない。日常的に新聞に親しむことが重要だ。新聞が身近にある環境を整え、授業で日常的に新聞を扱うカリキュラム化や、授業以外の隙間の時間を使って新聞記事を切り抜いてコメントを書くなどの「NIEタイム」が効果的。こつこつと無理なく行うことが大切だ。

せきぐち・しゅうじ 1955(昭和30)年、東京都生まれ。東京学芸大卒。都立小学校教諭としてNIEを進め、北区の3小学校長時代に組織的なNIE実践研究を行った。昨年4月から日本新聞協会NIEコーディネーター。全国新聞教育研究協議会前理事長。