RAD野田プロデュース曲も披露 独特な歌声の注目のシンガー・Aimerツアー最終日

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先ごろのMステ出演でも話題を呼んだAimer。 写真/Taku_Fujii

 8月に『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、初めて地上波で歌声を披露したシンガー・Aimer(エメ)。その独特の声には、ONE OK ROCKのTakaやRADWINPSの野田洋次郎が惚れ込み、楽曲提供・プロデュースしていることでも話題だ。そんなAimerが初のホールツアーを敢行、6日に東京国際フォーラムで最終日を迎えた。多くのアーティストをも魅了する、Aimerの声の魅力に迫る。

【写真】メガネにドレス、神秘的な姿を見せたAimer

◆ワンオクTaka、RAD野田プロデュースの曲も披露

 とにかくその圧倒的な声の存在感。15歳の頃に喉を壊した結果、現在の声質になったという特殊な経験を持つAimerのボーカルは、ハスキーかつ繊細で、コロコロと表情を変えていく。そして、自由自在に音階を転がっていく抜群の歌唱力に、衝撃を受ける。ときには教会に鳴り響くパイプオルガンのように神秘的に、ときにはオーケストラでソリストが放つバイオリンのように攻撃的に。薄暗い照明の中、「insane dream」「twoface」と予想外に歌いあげる曲で始まったライブは、最初から最後まで胸を締めつけ続ける時間となった。

 最新アルバム『daydream』の曲を中心に、この5年間で彼女を支えてきた曲たちを並べ、1曲ずつを丁寧に提示していくような今回のツアーは、これまでAimerのライブに足を運んできた人にも、初めてその生歌を浴びる人にとっても最高な内容だったといえる。それは今年7月にONE OK ROCKのTakaがプロデュースして話題になった「insane dream」も、1stアルバムに収録された「あなたに出会わなければ」も、彼女がまったく同じ鮮度で聴き手に贈ることができるからにほかならない。むしろ、楽曲の背景にあるものや歌い手のバックボーンとは無関係に、その楽曲のヒリヒリした質感や歌声の機微に浸ることができるのだ。

 アコースティック形態で聴かせた、柔らかなテンポが気持ちいい「カタオモイ」。ステージ前方まで駆け寄って、激しく揺れながら歌った「スピカ」。テレビ生出演で瞬く間に脚光を浴びた、RADWIMPS・野田洋次郎が楽曲提供・プロデュースのシングル曲「蝶々結び」。そして、ノスタルジックな情景の切なさに胸が締め付けられる新曲「茜さす」(11月16日発売)など、目の前で繰り広げられる様々な温度の音楽に、自分の環境が素直に反応していくのがまた楽しかった。

◆デビューして5年目、想像を超える美しさで響くAimerの生歌

 MCとなると、丁寧すぎる敬語とウィスパーボイスで、途端にひとりの物静かな女性になってしまうAimer。けれども、そんな彼女から発せられる言葉のひとつひとつは本当に飾り気がなく、まるで隣で話してるような親近感を覚える。言葉のリアリティも増す。
「歌い始めてから今日まで、嬉しかったことも悲しかったこともありました。手に入れたものも無くしたものもあります。でも今はそのすべてに感謝して、これからも歌っていきたいと思っています。私の歌を聴いて、みなさんの心がほんの少しでも動いてくれたら、それ以上嬉しいことはありません。私はみなさんにこうやって歌うために生きているなと、思っています」
 そう語って本編ラストに聴かせた「Brave Shine」は、暗闇の中から広がっていく細い光のような、儚さと強さの両方を感じさせた。

 デビューから5年目を迎え、初めてのホールツアーの最終日、東京国際フォーラム。生で聴くAimerの歌は想像をはるかに超えて美しいことを人々は再確認し、おそらくAimerは自分の歌がきちんと受け入れられていることにあらためて感動していた。Aimerの音楽が感じさせる可能性は計り知れない。来年にはアコースティックツアーの開催も決定している彼女。これまでにない歌声を持つAimerは、これまでにない聴き手との関係性を築いていくだろう。
(文/川上きくえ)