名古屋からネタ番組の熱を... 中京テレビ『前略、西東さん』の挑戦

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中京テレビのネタ番組『前略、西東(さいとう)さん』のキャラクター・西東さん(C)ORICON NewS inc.

 2014年3月末、前身番組『爆笑オンエアバトル』から通じて15年間にわたって続いてきた『オンバト+』(NHK)が、その歴史に幕を閉じた。2000年代後半に訪れた「ショートネタブーム」も落ち着きを見せ、ネタ番組全体が急激に勢いを失いつつあった。そんな状況に"名古屋"から待ったをかけるべく、中京テレビの村地賢氏(39)が月1回放送のネタ番組『前略、西東(さいとう)さん』の立ち上げを決意した。

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 ビビる大木とチュートリアル・徳井義実がMCを務める情報生番組『前略、大徳さん』(毎週日曜 前9:55)のスピンオフとしてスタートした同番組。若手芸人たちが東と西に分かれてネタを披露し、観客の判定で勝敗を決めるというスタイルは決まったものの、若手ならではの勢いと荒削りな芸を、時に温かく時に厳しく見守るMCを誰にすべきか、村地氏は悩んでいた。そんな時に『~大徳さん』に、哀愁漂うゆるキャラ「大徳さん」が出演していたことを思い出し「芸人さんたちは熱い思いを持っているけど、素の状態で芸人論を話し出すと照れが出るから、ゆるキャラを作って、その中に入ってもらおう」とひらめき、番組の顔となる哀愁漂うおっさんキャラ「西東さん」が作られた。

 番組の核が決まると、次は内容だ。大学時代にはお笑いサークルに所属し、その後も暇さえあればライブに足を運ぶほどのお笑いマニアである村地氏。自身がサークルに所属していた20年前と今を比べると、ライブ構成が変わってきていることが気になっていた。「20年近く前は、箱(会場)があんまりなくて、ライブも事務所主催のものとか単独があるくらいでした。ところが、最近は箱も増えて、ライブもトーク、大喜利、ギャガーだけが集まったものなど、企画性があるものをどんどん打ち出してきている。テレビが固くなっている分、ライブで自分たちの色を出そうという工夫であふれていたので、このライブ感も含めて何とかテレビにも持ち込みたいと思いました」。ライブで発見した企画のタネを大切に育て、テレビにおけるネタ見せの場を守るため『~西東さん』をスタートさせた。

 2014年11月29日に放送された第1回には、ブレーク前のメイプル超合金、サンシャイン池崎らが出演。売れっ子に頼らない強気なキャスティングも同番組の魅力のひとつだ。「まだ、テレビでは注目されていない芸人のネタを披露する場を提供する」をコンセプトに、毎月数回ほど制作スタッフが名古屋から東京に出張し、お笑いライブをハシゴする。さらに、各事務所から同局宛てに送られてくると月300本ほどのネタDVDをスタッフ全員で目を通す「鑑賞日」を設け、原石発掘のために夕方から朝方までひたすらネタを見ていく。

 こうした演者・スタッフの「お笑い熱」が視聴者にも届き、番組はまもなく2周年を迎える。きょう12日の深夜には、流れ星・ちゅうえい、永野らがひたすら「ノーセンスさ」を競うスピンオフ番組『ノーセンスユニークボケチャンピオンシップ』が放送される。もともとは、松竹芸能が運営している劇場「新宿角座」で定期的に開催される人気イベント「ノーセンスユニークボケ王決定戦」に番組スタッフが注目し、主催者であるピーマンズスタンダード・南川聡史や松竹側との交渉を重ねて実現させた渾身の企画。出場者のひとり、オジンオズボーンの篠宮暁は「この番組のことを、東京のスタッフさんに話したら『先にやられた!』と悔しがっていましたね」とスタッフの行動力に賛辞を送る。

 ORICON STYLEでは、今回の番組で審査委員長を務めた番組の顔「西東さん」にインタビューを敢行。自身と仲が良いというアンガールズ・田中卓志の話を紹介しながら、番組の意義を力説した。「アンガールズがまだテレビにそれほど出ていなかったころ、名古屋のネタ番組に呼んでもらって、それがすごくうれしくてネタ作りのモチベーションになっていたと言っていた。だから、本当にネタ番組って大切ですし、『西東さん』もそういうようなモチベーションになってくれたらうれしいですね」。収録中には、普段は温厚な西東さんが出演者の暴走に思わず声を荒らげて、真面目に注意する場面もあった。その真意を聞いてみると、深く息をつき次のように切り出した。

 「今のテレビ界って、昔と違って本当に規制が厳しくて...。ちょっと度を越した暴走がネットニュースになって、すぐに『何だ、あの番組は?』って炎上しちゃう。そうすると『面白かったけど、やっぱり番組やめようか』ということになってしまうので、それはあまりに悲しいから、あえて厳しく言いました。終わった後に『あぁ、面白かったのに残念だな』って言われるのって、本当にツラいし悔しい。だから『面白いけど、そのギリギリ手前で止める勇気』。これが、今求められていることなんだと思います」。番組の良心・西東さんの熱くも冷静な"お笑い観"と演者の勢い、スタッフのリサーチ力、これらがかけ合わさって莫大なパワーを生み出す『前略、西東さん』の挑戦はこれからも続く。

■『西東さんプレゼンツ ノーセンスユニークボケチャンピオンシップ』
放送日時:11月12日(土)深夜1:05~2:05
放送局:中京テレビ(愛知・岐阜・三重で放送)
MC:南川聡史(ピーマンズスタンダード)、平山雅(中京テレビアナウンサー)
審査員:西東さん、山根良顕(アンガールズ)ほか
出演者:アイアム野田(鬼ヶ島)、岩井ジョニ男(イワイガワ)、かねきよ勝則(新宿カウボーイ)、くぼた隆政(いち・もく・さん)、サンシャイン池崎、篠宮暁(オジンオズボーン)、田渕章裕(インディアンス)、ちゅうえい(流れ星)、永野、平野ノラ
※放送終了後、中京テレビの動画視聴アプリ『Chuun』(https://chuun.ctv.co.jp/)にて見逃し配信を実施。