鳥居みゆき、舞台にこだわる訳 生に対する葛藤も「まだ、やり残したことがある」

  このエントリーをはてなブックマークに追加 
舞台へのこだわり、生に対する葛藤を明かした鳥居みゆき (C)ORICON NewS inc.

 「舞台って、何でもできる訳じゃないんですよね。ここで、空から何かを降らせるとか、そういう演出も難しかったりするじゃないですか。私は制限がないと…不自由な中じゃないと自由はないと思っていて、舞台はまさにその状況なので、やりがいがありますね」。こう話すのは今回、実際の事件を基にした舞台『女王と呼ばれた女』で主演を務める鳥居みゆき(35)。テレビで活動しながらも、最近では舞台にこだわり、自らのありあまるエネルギーを体いっぱいに表現する鳥居の、今作にかける思いに迫った。

【全身ショット】妖艶な浴衣姿を披露した鳥居みゆき

■魔性の女の生きづらさに理解 座長として熱いダメ出し「若さは売りじゃない!」

 同作は1940年代に起きた「アナタハン事件」がモチーフとなっており、太平洋戦争末期の1945年にアナタハンと呼ばれる島に、鳥居演じる和子と12人の男が漂着。和子は、自分や食料、残された一丁の拳銃をめぐって争う男たちの性格を見抜き、次々といろいろな顔を使い分けて翻弄していく。木村多江主演の映画『東京島』をはじめ、アナタハン事件を題材にしたさまざまな映像作品が存在しており、今回の役作りの参考にしようとしたそうだが…。

「アナタハンの映像や『東京島』とかも出ているので、TSUTAYAに行ってみたんですけど『あ』の欄を探していたら、見つけられなくて…気付いたら『う』のところに行っちゃって『ウォーキング・デッド』を借りて、今シーズン3まで観ました。おかげで、ゾンビの完成度が上がりましたよ。えっと…何の話だっけ? あーアナタハンか(笑)」。

 多重人格者として、男たちを虜にする“魔性の女”和子の生き方には「逆に言えば、すごくピュアなんだと思う。器用な人って、本当に普通に生きられるので、もがかないと生きられないという気持ちはわかります」と共感しながら、様々な“顔”を使い分ける怪演にも自信をのぞかせる。「私、友だちがいないんですけど、ボーリングをやってみたかったので(プレーヤーを)『鳥居』と『みゆき』に分けて(1人で)やってみたことがあって。その時は人格を使い分けて、脳内で会話をして、脳内でハイタッチとかしていましたね。だから、今回も使い分けられるんじゃないかな」。舞台を引っ張っていく“座長”としての思いを聞くと「えっ座長? 嫌なんですよねー。私そういう引っ張ったりとかできないです」と首を横に振るが、共演者たちに厳しくも優しいまなざしを向けている。

「若さが売りだって言う子がいたんですけど『若さが売りなんだ…ちょっと傷ついているよ、私』みたいな。でもね、そう言った彼が、最終的に本番が終わった時に、若さよりも売りになるものができていたらいいなとか思いますけどね。親心というか、若さって本当は売りじゃないから。イケメン俳優が『顔が売りです』って言っても、そんなの腐るほどいるから。イケメン俳優はイケメン俳優として、自分を納得させていたらダメなんですよ」。コント、著書、映像、そして舞台とさまざまな場所で強烈な個性を発揮し、自らの可能性を広げてきた鳥居だからこそ、その言葉に重みが増す。

■脱線トークの中に紛れる“本音” 新生・鳥居みゆきへ決意「自分の色が出れば」

 テレビと舞台の表現の違いでは「ルールって壊すものじゃん? そこのギリギリのところ、放送コードがあったとしたら、いかにそれを延長コードにするかっていう作業が面白い」と笑い飛ばすなど、こちらの意図を汲みつつ話を脱線させながらも、しっかりとオチをつけ、時おり“本音らしきもの”を紛れさせる。そんな鳥居のウィットに富んだ小気味良い受け答えには心地良さを感じるが、自身のネタを披露する時にも、その方法を応用しているという。「コントの時は、ここだっていう時にバッてお客さんの方を見ながらやります。私のネタは文字数が多くて、内容がわかりにくいだけに、『ここですよ』って提示しないと難しいところがあるので…。逆に、流していいところはわざとサッと言ったりしていますね」。

 今回の舞台では“生と死”がテーマとなっているが、鳥居も自身のライブで同じことを問いかけてきた。「死をテーマに毎回ネタを書いてきたんですけど、よく考えてみたら『生きる』ということがテーマだったんだと気づいた。生きることの延長線上に死があるんだっていうことに気付いたので、この間の単独ライブは、そこを表現しました。やっぱり、生きたいとかっていう気持ちはたぶん…同い年の人よりは感じているはずなんですよ。死にたいって思うときほど生きたいじゃないですか、そこは私しか表現できないと思います」。

 インタビューなどでは、よく「私、35歳で死ぬから」と公言している鳥居だが、来月18日には36歳の誕生日を迎える。その5日後に始まる今回の舞台は、まさに「新生・鳥居みゆき」が見られる絶好の機会となるが「もしかしたら、廃人になっているかもしれないですね。それに、私はまだ今年も28歳の誕生日イベントやりますから!」とくぎを刺しながらも、現在の胸の内を打ち明けてくれた。

 「何かやっぱりね、生に対する葛藤はありますよ。いつ終わっても恨まないでいます、私は。やりきったと思うように生きますわ。35で死ねなかったのは、なんでだろうと思いますけど、それはそれなりにまだやり残したことがあるんでしょうね。だから、今回は私なりの色が出ればいいなと思います」。その目は、しっかりとこちらを見据えていた。

■『女王と呼ばれた女』
出演:鳥居みゆき、馬場良馬、三谷怜央(龍雅-Ryoga-)、中村太郎、江原蓮、室屋翔平、ワダタワー、バブリーナ、東谷英人、大原研二、高橋義和、澤田慎司、岡本陽介、伊東潤、お宮の松
場所:東京・新宿村LIVE
日程:3月23日~26日