ドロ沼恋愛ドラマ『奪い愛、冬』、制作の舞台裏

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テレビ朝日系『金曜ナイトドラマ「奪い愛、冬」』(毎週金曜23:15より放送)より(C)テレビ朝日

 強烈なキャラクター群で展開されるドロ沼恋愛ドラマとして注目の『金曜ナイトドラマ「奪い愛、冬」』(テレビ朝日系)。5分に1度は何かが起こるスピーディーな展開で、脚本を手がけるのは鈴木おさむ氏。同作は、F1層(20~34歳までの女性)からも支持が厚いという。

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■禁断の愛の物語にF1層も支持

 将来を誓い合った婚約者がありながら、かつて愛した元彼との再会により、揺らぎ迷う主人公――。金曜ナイトドラマの『奪い愛、冬』は、そんな王道メロドラマ的な設定を踏襲しつつも、スピーディーな物語展開と強烈なキャラクター群で展開するノンストップ恋愛ドラマを成立させている。プロデューサーの川島誠史氏(テレビ朝日 総合編成局 ドラマ制作部)は昨年、話題となったドラマ『不機嫌な果実』に携わった。

 「世間では「逃げ恥」的なピュアな恋愛ものが話題ですが、ドロドロした不倫や恋愛を描くドラマにも普遍的なニーズがあります。そう再確認できたのが『不機嫌な果実』で、意外にF1層の支持も高かった。自分ではなかなか実行できないような禁断の愛の物語も、ある種のファンタジーとしてF1層が疑似体験できたのではと思います」

 その『不機嫌な果実』では、次々に話が展開するスピード感も話題の要因だったと分析。『奪い愛~』で鈴木おさむ氏を脚本家として起用したのは、その尽きぬアイデアと強靭な構成力に期待してのことだという。

 「ずっとエンタメのど真ん中を走ってきた方で、何より構成を立てるプロフェッショナル。5分に一度は何か視聴者が驚かされるような、反応するポイントが欲しいという要望にも、むしろ面白がって対応してくださっています。とにかくアイデアマンですから、出し惜しみせずに出来事をポンポン起こす。煮詰まりがちな台本の打ち合わせも、鈴木さんの場合はとてもスムーズで驚きます」

 倉科カナ演じる主人公の婚約者・三浦翔平は、ドラマ開幕の当初はキラキラしたパブリックイメージ通りなのだが、次第に狂気のボルテージを上げていく。主人公の同僚役で危ないオーラを発散する秋元才加や、笑顔が美しいだけに底意地の悪さが際立つ婚約者の母・榊原郁恵など、次に何を起こすかわからないスリリングなキャラクター揃いだ。しかし第1話から圧倒的な怪演で楽しませてくれるのは、主人公の元カレ・大谷亮平の妻を演じる水野美紀だ。

 「水野さんにしか出せない存在感と、あの極端な役をコメディにならないギリギリのところで成立させる技量には、凄みを感じます。三浦さんの場合は、イメージの殻を破って驚かせたいというギャップ狙いがありました。嫌われることを恐れず演じてくれる榊原さんや秋元さんの潔い演技にも助けられていますね。倉科さん、大谷さん演じる"まともな人"の安定感と、いわば"振り切った人"とのバランスには、特に神経を使ったキャスティングになっています」

■SNSや告知動画にも注力、使えるメディアは最大限利用

 F1層に向けたアピールとして、公式Twitterでの放送中のリアルタイムツイートや、YouTubeへのみどころ動画配信。さらにAbemaTVでは、キャストの1人であるダレノガレ明美を起用したスピンオフ生ドラマ『もうちょい、奪い愛 with 生ドラマ』や三浦翔平による放送前の解説コンテンツ『もうすぐ、奪い愛』なども展開した。

 「もちろん、放映中はドラマだけに集中してほしいという考え方もあることは承知の上です。あくまで20代、30代といった多メディアに慣れている人たちへの導線で、金曜ナイトドラマ枠とSNSや動画配信との親和性が高いなら、最大限に利用したいと思っています。僕はドラマを通してエンタテインメント体験を作っていると考えていますので、視聴者に楽しんでもらえたらそれでいいと思います」

 川島氏は、入社当時からドラマ制作を志望していたという。

 「思えば、ジェットコースタードラマと呼ばれた『もう誰も愛さない』という作品が大好きでした。フォーマットこそ変わっても、驚きも泣きも笑いも凝縮された、劇的な展開がどんどん起こるエンタメ性の高い、アトラクションのような内容。そんなドラマのニーズは今も変わらないと感じますね」

(文/及川望)

(コンフィデンス 17年2月27日号掲載)