YOSHIKI、20数年の沈黙を破り、伝えたかった「生きる希望」

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20年断り続けてきたというドキュメンタリー映画の制作秘話を語ったX JAPANリーダーのYOSHIKI 撮影:RYUGO SAITO (C)oricon ME inc.

 ハリウッドが制作した日本のロックバンド・X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』が3日、日本で公開される。世界への挑戦、メンバーの脱退・死、ヴォーカルToshlの洗脳騒動、解散…そして復活と、これまでX JAPANの封印された歴史を描く作品だ。バンドのリーダーであるYOSHIKIが映画制作秘話と、バンドを率いるリーダーとしての想いを語った。

【画像】デビュー初期、過激なビジュアルのHIDEとYOSHIKI

■20数年間断り続けてきたドキュメンタリー作品

 「実は、20年以上前から、X JAPANのドキュメンタリーを作るべきだと多くの方から言われていたんです。興味はあったんですが、あまりにも悲しく苦しい過去があったので無理だと断ってきました。1997年の東京ドーム解散ラストライブの記録映像も見られないんです。悲しくて。最初の数分で涙が出てしまう。一部を切り取った過去を振り返ることができないのに、バンド全体のストーリーなんて無理に決まっている。そんな風に、何年もいろいろな人に『映画化はできない』と断っていましたが、最近になって『X JAPANのストーリーは心に傷を負った人を救うことができるんじゃないか』という意見を聞くようになりました。僕たちは進行形で活動をしていますし、そういう趣旨の作品なら作ってみようという方向に変わってきたんです」

 作中では、これまでにどのメディアでも語られていなかった部分まで、YOSHIKI本人へのインタビューと密着取材によって描かれている。20数年間断り続けていたほどの、過去を振り返るというつらく悲しい作業をYOSHIKIはどうやって乗り越えたのか。

 「まず、“人に希望を与えられるものにしたい”ということがこの映画の“芯”でした。ですが、インタビューでは、うまく過去のことを話せなかった。聞かれても黙ってしまって中断を繰り返して…なかなか核心を話せませんでした。制作期間はとても長かったので、1カ月くらいおいて再度映画のインタビューを受けた時に、自分のある変化に気づいたんです。自分が語りたくないことと向き合うことで、悲しみを乗り越えらるんじゃないかと思うように変化していきました。最終的には映画の制作協力を通じて、自分の中の過去に通じるドアを全部空けて精神的にも裸になりました。映画は完成しましたが、悲しみは乗り越えたわけじゃないと思います。心の傷は一生消えないけれど、共存していく何かをこの映画で見つけられたような気がします」

■「自分を倒せたら、何だって倒せる」

 日本・イギリスでの映画公開の翌日、4日には“ロックの聖地”ともいわれる会場の一つ、イギリスのウェンブリー・アリーナでX JAPANは単独ライブを行う。バンドリーダーとして道を突き進むために必要な、自分を信じる力――「自信」はどこからくるのだろうか。

 「ヒトはみんな、不安と自信の境界線を行ったり来たりしている。そんな中0.01%でも、自信側にもっていければ、それはもう自信につながる。何が自信につながっているかというと…やっぱり努力、日々やっていることの積み重ねは自信につながっていると思います。一つ言えることは、努力することって楽しいんです。作曲は、1カ月かけても何も出てこないことがありますが、英語の勉強をしたら、1カ月前よりも進歩しているはずです。その進歩を人間は楽しむべきなんだと思います。きっと、人生の色々なことが努力で楽しくなる。バンドも進化(努力)の歴史でした。中途半端に打ち込むと、中途半端な結果しか返ってこないので、僕はいつも全身全霊で飛び込むようにしています。失敗って、自分が決めるまでは失敗じゃないんです」

 世界を飛び回り、「起きると違う国にいる」とよく語っているYOSHIKI。ネットの発達において、現地に足を運ばなくても打ち合わせができる環境にあるが、対人のコミュニケーションにこだわる。そこに、バンドのリーダーとして気を付けている大事なポイントがあった。「誰に対しても、僕は必ず相手に対して、自分よりも頭が良い人だと思って接しています。理屈で固めたって何も伝わらない。ありのままの自分をぶつける。僕は自分の感情を出すことを大事に、ある意味とりつくろわずに、むき出しにして人と接しています」

 人とのやりとりにおいても、ストレートに自分の気持ちでぶつかるのがYOSHIKI流だ。そうして人を動かし、既成概念を打ち破り、日本の音楽史に残る結果を残してきた。2016年大晦日のNHK「第67回紅白歌合戦」では歌の力でゴジラを撃退するなど、さまざまものを“倒してきたX JAPAN。YOSHIKIはゴジラの次に何を倒すのだろうか。

 「いつどんなタイミングでも、僕が戦っている相手は“自分自身”です。これからも不安を抱いている自分を倒していきたいですね。不安を抱いている自分を倒せれば、この世で倒せないものなんてないと思っています」

 2017年にはX JAPANの新アルバムリリースも予定されており、昨年末のオリコンのインタビューでは「自分でも(出ると)信じていないです」と笑っていたYOSHIKI。“これまでの”X JAPANを描いたのが本作品だが、バンドはこれからも続いていく。『WE ARE X』パート2制作の可能性について質問すると「これから僕らが世界という壁にどれだけ立ち向かえるかどうかによって決まるんでしょうね。楽しみにしていてください」と笑った。
 
 X JAPANのドキュメンタリー映画『WE ARE X』は3日に日・英同時公開。以降、韓国、台湾、ドイツ、オーストラリアでも順次公開予定。