純粋に笑いだけを追求した10年 『ゴッドタン』佐久間Pが挑む配信版と次のステージ

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佐久間宣行プロデューサー (C)ORICON NewS inc.

 「コンプライアンスが...」「BPOが...」と何かにつけて規制が叫ばれ、尖った番組が作りにくい印象を受ける昨今のテレビ業界。そんな中、バカバカしさ、エロ、そして感動とさまざまな角度から視聴者の心を揺さぶる、テレビ東京の土曜深夜のバラエティー『ゴッドタン』(毎週土曜 深1:45~)が、おぎやはぎ、劇団ひとりなどの出演者はそのままで、配信サービス「dTV」でのオリジナル動画配信を始めた。両番組で演出を務める同局の佐久間宣行プロデューサー(41)にインタビューを行い、dTV版の特徴、個性的なタレントの見つけ方、さらには4月で10周年を迎える『ゴッドタン』の今後などに迫った。

【場面カット】テレビの規制から放たれて...劇団ひとりが初回から大暴れ

■放送コードの壁を越え、アクセル全開 過激な企画を支える"信頼関係"

 dTV版は、テレビ版の魅力をそのままに「放送コードの壁」が少し低くなったことで、さらに踏み込んだ企画を実施。番組独自の特性を生かした企画を打ち出している。「dTVはお金を払って、わざわざ見に来てくれるお笑い好きな人たちだろうなと思うので、入門編みたいなのはやめようと。(出演者にも)アクセル踏んでやってもらって、本当にヤバいところがあったらカットしますけど、大抵はそのまま流します(笑)。だから、テレビ版が"お笑いの部活"だとしたら、dTVの方は部活の後に友だちの家に行ってふざけているというか、リラックスしているけど、面白いことやっているっていう感覚の番組になっていると思います」。

 これまでの放送回を眺めてみると「セクシー女優愛確かめ選手権」や「元気の出るキャバクラ」など、かなり過激なタイトルとなっているが、番組内容を観てみると"下品"になっていないのが不思議なところ。この点について、佐久間氏は「それは、ずっと続けている番組だからこそで、下ネタもエロも、笑いのためにやっていて、笑えないとすぐにやめちゃうので。そういうところじゃないかなと思いますね。昔からやっているスタッフと制作陣だから、何が良くて何が笑えるっていうのは、そんなにブレていないはずです」と長年の信頼関係がなせる技だと説明する。

 1本あたりの放送時間が10数分と、その短さも新たな企画を試すための最適な場となっている。「オファーをいただいた時、dTVさんの条件が10分くらいのもので、企画の縛りがないっていうことでした。もともと『ゴッドタン』の中で、30分はできないけど...という企画とか、短距離走向けの芸人さんとかもいたので、そうしたらそれを試す場としていいなと思ったので、すごくモチベーション高くやっています。出演者の皆さんも、放送時間が10分くらいなので、ぬるい感じでは使われないっていうのがあるから、勝負かけていかないといけないっていう感じがあると思いますね」。

■即興力重視のオーディションで原石探し 11年目の『ゴッドタン』は「新しい企画を...」

 『ゴッドタン』といえば、出演する芸人たちの圧倒的なパワーもさることながら、とにかく苦労しているアイドルの小池美由、芸人を冷静に分析し的確に助言するキャバクラ嬢のあいな、そのほか芸人以外にも数多くの個性的なキャラクターを輩出。ダイヤの原石を発掘するため、オーディションにはこだわっている。

「選ぶ基準は、地頭がいいかどうか。『ゴッドタン』の現場は芸人がみんな台本と違うことをやるから、その時にフリーズして何もできない人は、何もできなくて終わっちゃう。だから、オーディションでは最初に『このカンペを読んでください』と言って、1枚めくったら、次から違うことをこっちがどんどん書いていって、それに対応できるかという感じ。渡した台本と違うことをやってもらいながら対応力を見て、それがある人は使っていくっていう感じですね」。

 こうして日々の収録を駆け抜けてきた佐久間氏だが、4月で『ゴッドタン』は10周年を迎える。「何のストレスもなくて、本当に楽しいだけの10年です。スタジオに行くのが楽しみで、編集も楽しみだし...嫌だなっていうのは一回もないですね」と話す笑顔から、心の底からの充実感が伝わってくる。出演者、スタッフが全力で「楽しんでいる」からこそ、その空気が視聴者にも伝わってくるのだろう。一方で、SNSの発達によって広がった"リスク"にも、きちんと対応している。番組の一部を意識的に切り取り、本来の意図を変えて拡散する人もいるため「番組を見ていないで誤解する人が一定層いるのはしょうがない。変な風に切り取られる危険性はいつでもあるから、そこの自衛努力は考えながら作っています」。

 来週16日には、日本武道館で番組内の人気企画のライブ版『マジ歌ライブ2017~マジ武道館~』を開催。同ライブをもって、MCの松丸友紀アナウンサー(35)が産休に入るなど、いろんな意味で『ゴッドタン』の試金石となる。佐久間氏は、武道館後の『ゴッドタン』をどう見据えているのだろうか。

「武道館が終わってからは、4月クールは今まで面白かった企画をやって、5月からはたくさんスベるかもしれないけど、新しい企画をやっていきたい。松丸は...1年間くらいお休みするのかな? その間は、いろんなものでしのぐから、(後任の)女子アナは置かないです。アシスタントは、今まで出てきた人をその日限りでやってもらったりするかもしれないですけど。だって、代わりの女子アナ入れても、松丸より面白い女子アナいないので」。

 今後の目標は、極めて明快だ。

「僕は、テレビの中ではあだ花みたいなところがありますけど、チャンスがあれば、やっぱりお笑い番組をゴールデンでやりたい。もうね...『めちゃイケ』くらいしか残ってないですよね。お笑い好きな人は、みんなタイムシフトして見ますからね。見る人が多いところというのと、お笑い番組はお金をかけたほうがくだらないができることもあるので。今までずっと一緒にやってきた芸人さんたちも、脂が乗っているので、そういう人たちとやりたいなっていうのはあります」。テレ東ならではの「ゆるさ」を武器に、様々な垣根を越えた活動を続ける佐久間氏が、次はどんな手を打って、テレビ好きをワクワクさせてくれるのか大いに期待したい。