ラジオ文字起こしを販売 文化放送の狙い

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文化放送がスタートさせた「ラジオプリント」サービス

 民放ラジオ局の放送をインターネットで同時に聞くことができるサイマルサービス『radiko.jp』による「タイムフリー聴取機能」をはじめ、さまざまな改革が進むラジオ業界。そんな中、文化放送がラジオ番組の放送内容をそのまま書き起こした文章をファミリーマートのコピー機で購入できるサービス「ラジオプリント」を今月よりスタートさせた。同社の取締役を務める片寄好之氏に、今回の一手を打った意図に迫った。

【画像】「ラジオプリント」ロゴマーク

■ラジオ文章化の意図は? 書き起こしで広がるラジオの楽しみ方

 同サービスの対象番組は、同局のインターネットラジオ「超!A&G+」で放送中の声優・徳井青空がパーソナリティーを務める『徳井青空のまぁるくなぁれ!』(毎週水曜 深1:30)。番組の内容を書き起こした文章に加え、徳井の収録風景写真や手描きイラスト、メッセージなどのオリジナルコンテンツも掲載。番組配信終了直後より全国のファミリーマート(サークルKサンクスを含む)のマルチコピー機より、A3カラー1枚300円(税込)で購入することができる。

 ラジオ番組の文章化に踏み切った理由について、片寄氏は「このサービスの前に、徳井さんとVRのサービスをリリースしました。そこで、デジタル的な第2弾のコンテンツを模索していましたが、逆にアナログなものの良さ、面白さを、デジタルなデバイスを使って、お届けできるシステムがあるということを知り、挑戦してみようということになりました」と明かす。実際に第1弾のコピーを読んでみると、書き起こしの文字量もさることながら、表現によって「!」の数が違っているなど、番組の雰囲気を再現しようと非常に細かい部分にまでこだわっている。この重要な役割は誰が担っているのだろう。

 「基本的に放送作家が担当しています。番組内容をよく把握して、パーソナリティーの情緒を文字で表現することにたけており、適切な人選だと感じています。放送でのトークはできるだけ、というか基本的にはすべて書き起こすことにしています」。

■リスナーからも絶賛の声 書き起こしサイト問題解消へ「公式のサービスを」

 そのほかにも、ラジオネームがしっかりと掲載されているなど、リスナーにとってうれしい仕掛けが満載。まだ立ち上げから間もないが「これを読みながらまた思い出に浸ろうと思う」「ラジオプリントが優良コンテンツすぎる」「前の放送もプリントできるから、万が一聞き逃しても大丈夫」など、声で伝えられた番組内容が"文字"としてアーカイブ化されることへの高評価が相次いでいる。

 片寄氏も「好調だと感じています。リスナーの皆さんからは『書き起こしが公式で買うことができてうれしい』との声をもらっています」と同サービスへの手応えをにじませる。こうしたサービスが"公式"で行われることは、ラジオ界全体にとって重要な意味を持つ。昨今、番組発言の一部のみを切り取った「書き起こしサイト」が年々増え、それを引用した過激な見出しのニュースが氾濫。結果的に、パーソナリティーたちも意図的な"抜粋"をされまいと警戒し、自由な発言が飛び交うラジオならではの雰囲気が失われつつあるからだ。

 パーソナリティーとリスナーによる共犯関係によって成り立つ"聖域"を守るためのひとつの対抗策として、今回のサービスが機能するのではないかと片寄氏も期待を寄せる。「公式のサービスが存在することは、やはり一定の歯止めとなり、ひいてはリスナーサービスにもつながると思っています。ラジオプリントは、そうした期待を裏切らないような、中身の濃い(イラスト、画像等)ものになっているのではないかと自負しております。こうした公式で質のよいサービスを増やしていくことが、結果的にはさまざまな問題への対抗策となるのではないかと思います」。文化放送が打ち出した今回のサービスは、リスナーとパーソナリティーのみならず、ラジオ界全体にとっても重要な一歩となりそうだ。