18年上半期映画ランキングTOP10、100億円超えゼロ 邦画実写低迷に明るい兆しも

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6年連続のシリーズ興行収入記録更新『名探偵コナン ゼロの執行人』が1位となった2018年上半期映画興行ランキング(最終興収は一部推定)

 2018年の上半期映画興行ランキングTOP10は、表のような結果になった。邦画と洋画が5作ずつのランクインとなり、内訳は邦画アニメ2作、邦画実写3作、洋画アニメ2作、洋画実写3作。昨年は『美女と野獣』が125億円で1位だったが、今年は100億円超えはゼロ。6年連続のシリーズ興行収入記録更新となった『名探偵コナン ゼロの執行人』が、昨年の『名探偵コナン から紅の恋歌』(68.9億円)から興収比120%を超える伸びを見せてシーンをけん引したものの、全体では昨年上半期興収の10%ほどの減になるようだ。

【画像】夏休み映画の期待作『ジュラシック』と山下智久『劇場版コード・ブルー』

◆今の洋画シーンを象徴する充実した布陣

 今年上半期にシーンをにぎわせていた洋画だが、最大のトピックはミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』だろう。昨年の『ラ・ラ・ランド』(44.2億円)のヒットも記憶に新しいが、近年の女性層を中心にミュージカル映画へ期待感が高まる流れを上手く汲みとり、それに見事に応えるクオリティが『ラ・ラ・ランド』を超える大ヒットにつながった。近年のミュージカル映画は、サントラ盤やサントラダウンロードもヒットしていることが特徴的。ミュージカル映画のもっとも重要な要素である楽曲のよさで、音楽と映画の相乗ヒットになっている。

 そのほか洋画を見ると、シリーズ前作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年/116.3億円)から興収比64.5%と厳しい数字になったが2位の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(75億円)、ディズニーからアニメと実写シリーズの大作『リメンバー・ミー』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、約6年ぶりのドリームワークス日本劇場公開作品となった『ボス・ベイビー』。

 この並びを映画ジャーナリストの大高宏雄氏は、「ディズニーの定番シリーズ、メジャースタジオのアニメーション、ミュージカル映画と今の洋画シーンを象徴している充実した布陣。そのなかでも、安定した人気のディズニー作品の間に『グレイテスト・ショーマン』がランクインした意味は大きい」。昨今のミュージカル映画人気が一過性のものではなく、ある程度の観客の規模を持って定着してきていることが示されている。

◆昨年から尾を引く邦画実写低迷の現状

 一方、気になるのが邦画実写だ。『第71回カンヌ国際映画祭』にて最高賞=パルムドール受賞という強烈な追い風が吹いた『万引き家族』を除くと、ランクインした2作は昨年12月公開のお正月映画。今年に入って公開された邦画実写(1~6月公開)で、20億円を超えたのは『万引き家族』のみになる。大高氏は「とくに東宝などが得意としてきた漫画実写化作品などで10億円に届かない作品が多い。その理由は作品ごとに異なりますが、これまである程度成功していた、人気のある漫画や小説を下地にする作品に観客が集まらなくなっています。似たような作品が増えすぎて飽きられている面もありますが、原作がおもしろくても、それが映画になったときに楽しめるかは別問題。映画化にふさわしい題材かどうかです」と、昨年から尾を引く邦画実写低迷の現状を分析する。

 しかし、そんななかで明るい兆しになっているのが、6月公開の2作『空飛ぶタイヤ』『50回目のファーストキス』がロングヒットになっていること。『空飛ぶタイヤ』は6/15の公開から5週目でも5位にランクインし、興収は15億円を突破。『50回目のファーストキス』は6/1公開の7週目で9位をキープし、12億円を突破している。

 小説原作であり、これまでにも映像化されている『空飛ぶタイヤ』のヒットについて、大高氏は社会性の高い作品が受ける昨今の流れを挙げながら「緊迫感と爽快感、ラストにカタルシスのある映画向けの社会派作品。王道の社会派娯楽作品として、この分野の可能性を切り開いたことの意味は大きい」と指摘する。

 今のロングヒットには口コミによる拡散が欠かせない。同作に限らないが、上述のようなおもしろさ、内容のよさが、SNSによって波及し、一般層の興味を強く喚起することが、余暇時間の使い方にシビアな時代のヒットには不可欠になっている。ただし、SNSなどの口コミは、PR的な匂いのするものに対しては、逆の効果を生む場合もあり、宣伝としての活用には限界がある。『空飛ぶタイヤ』の口コミでの話題の広がり方や、映画化にふさわしい原作小説のあり方など、ここから学ぶべき、今の“ヒットの方程式”のヒントがありそうだ。

◆下半期、夏休み映画が好調なスタート

 下半期を見ると、先週末から公開されている『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が、公開4日間累計で動員145万人、興収21億円。前作『ジュラシック・ワールド』(2015年/95.3億円)の興収比144.1%という大ヒットスタート切ったほか、ディズニー/ピクサーの最新作『インクレディブル・ファミリー』、トム・クルーズ主演の大ヒットシリーズ『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』と期待のハリウッド大作が続く。

 邦画では、細田守監督の夏休みアニメ『未来のミライ』や、フジテレビによる『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』。かつてフジテレビが得意としていたドラマ映画の『劇場版コード・ブルー』は、昨年7月期に月9枠で放送された連続ドラマが平均視聴率14.8%と好調だっただけに、ヒットへの期待が高まる。それとともに、ここしばらく制作されていなかったドラマ映画が、今どう観客に受け止められるか、映画界が注目している。
(コンフィデンス誌より)