元柔道エリートの美人格闘家、“戦力外通告”が転機に「まだ選手としてやりきっていない」

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Tシャツからのぞく二の腕のたくましさに目を奪われる。バキバキに割れた腹筋も自慢だ。撮影/臼田洋一郎 (C)oricon ME inc.

 一見、ハーフのような小顔の美女ながら、筋骨隆々のムキムキボディをもつ総合格闘家の渡辺華奈。2017年12月、総合格闘技イベント「DEEP JEWELS 18」の勝利で総合格闘家デビューを飾るや、「RIZIN」でも勝ち星を獲り続け、女子総合格闘技界の新ヒロインとして注目されている。かつて女子柔道界で活躍していた彼女が、なぜ転向したのか。その背景には、すべて捨てるほどの「挫折感」があった。

【写真】渡辺華奈、鍛え抜かれたムキムキボディを大胆披露

■28歳で受けた「戦力外通告」

「7歳のときに柔道を始めて以来、高校も大学も柔道ひとすじの生活を送ってきました。転機となったのは2016年の年末、28歳のとき。当時所属していたJR東日本から、今年度いっぱいで選手としては引退し、コーチに就任してほしいと言われたんです。いわば“戦力外通告”でした」

 2016年といえば、全日本実業柔道団体対抗大会でJR東日本女子柔道部がチーム2位となり、自身が優秀選手賞を受賞した年。しかし、そのあとの個人戦では結果が振るわず、年齢的にも限界を迎えていた。

「会社としては当然の判断だったと思います。20代後半は、“ここで結果を残さなかったら、柔道をやめなければいけないんだ”とずっと追い詰められた精神状態でした。毎年、何人かやめていきますし、私だけではなく、多くの選手がそうしたプレッシャーと戦いながら試合に挑んでいるのだと思います。覚悟していたつもりでしたが、引退勧告はやはり大きなショックでした」

■「安定」を捨てて、総合格闘技の道を選んだ

 2017年4月からはJR東日本女子柔道部のコーチに就任。しかし、同年7月に退社してしまうーー。

「自分なりに“引退”という現実を受け入れてコーチに就任したつもりでしたが、モヤモヤとした気持ちが日に日にふくらんでいきました。まだ選手としてやり切っていないーー。こんな気持ちを抱えながら、選手の育成を続けられないと思いました」

 退職後は、以前から交流があった現役格闘家の上田貴央氏が立ち上げたトレーニングジム「FIGHTER'S FLOW(ファイターズフロウ)」に所属。総合格闘家の道を目指すことを決めた。総合格闘家としてプロデビューすると、もう柔道界に携わることはできないーー。すべてを捨てる覚悟を決めて、総合格闘家の道を選んだ。

「柔道に比べて、総合格闘技はルールが自由で動きの幅が広く、打撃あり、投げあり、言ってしまえば何でもあり。そのため覚える基本やテクニックもたくさんあります。また、お金を払って見に来ていただく競技ですから、見られることを意識するようになりました。入場のパフォーマンスなども含めて、すべてプロの総合格闘家としての自覚をもってやらなければいけないと思っています。実力以上のものは出せないので難しいこともありますが、気持ちよい勝ち方を目指していきたいと思っています」

 試合前の減量はやはり肉体的にも精神的にも、きつい。総合格闘技の場合は、計量後にどれだけ体重が増えてもよいため、できるだけ体重を増やした方が有利だ。計量から翌日の試合までに、4kgほどを戻すという。

「ふだんは炭水化物をあまり摂りませんが、計量後はカステラやうどん、パスタなど、2~3時間おきにひたすら炭水化物を摂り、エネルギーを蓄えます。私の場合は1日で4kgくらい戻します。1か月くらいずっと減量してエネルギーが枯渇している状態で、最後の2kgほどは水分で落としているので、たくさん食べることもきついけれど、すぐに体重が戻ります。私は身長167cmで、普段の体重は62kgくらい。減量ではだいたい5kg落とします」

 ストイックだが、最近流行しているボディメイクのためのフィットネスや筋トレとは無縁だ。

「美尻になれるとか、スタイルがよくなるといったことに、私は全然興味がないんです(笑)。10代の頃は、周囲の女の子たちを見てうらやましいと思ったこともありましたが、そもそもかわいい服は、私の体に合うサイズがない。いつか柔道をやめたら、普通の女の子になろうと思い続けていましたが、そんな日はまだ先ですね。どうしよう……と思うこともありますよ(笑)」

 目標はプロの総合格闘家として、気持ちよい試合をすること。そして見る人を元気づけ、「挑戦」を後押しするような試合をすること。挫折しても、年齢が上がっても、努力をすれば輝ける。自分が勝つことでそれを証明し、多くの人に希望をもってもらいたいと語る。