デジタル遺品が題材のドラマ『dele』山田孝之&菅田将暉がはまり役【記者コラム】

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テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『dele』第2話(8月3日放送)より。依頼人の死後、不都合なデジタル記録を“内密に”抹消する仕事に勤しむ坂上圭司(山田孝之)&真柴祐太郎(菅田将暉)(C)テレビ朝日

 テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『dele(ディーリー)』(毎週金曜 後11:15~深0:15※一部地域で放送時間が異なる)。第1話の冒頭からぐいぐい引き込まれた。第1話は、菅田演じる真柴祐太郎が、なぜか複数の警察官たちに追われているシーンから始まった。取り押さえられ、「助けて。僕を助けてください」と子どもが泣き叫ぶのを見て、満足そうな笑みを浮かべる祐太郎。次のシーンでは「キミはなぜ逃亡したのかな?」という裁判長の問いかけに答える形で、「なぜ」が回収され、祐太郎の人となりを視聴者に提示する。

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 その法廷でのやりとりを偶然見た弁護士の坂上舞(麻生久美子)は、保釈金と弁護士費用を肩代わりする代わりに弟の会社で働くよう、祐太郎にすすめる。その弟が、山田孝之演じる坂上圭司。「何をしている会社?」と祐太郎が尋ねると、タイミングよく、コンピュータの電子音が鳴る。

 圭司が立ち上げた会社「dele. LIFE」では、依頼人のスマホなどが一定期間操作されなかった場合にシステムが反応。死亡を確認した後、依頼人が指定したデータを遠隔操作で削除するというサービスを提供していた。プログラマーの圭司が当たり前のように専門用語など使って説明すると、祐太郎が「デジタルデバイスって?」「消したいデータって?」と質問し、圭司がさらに噛み砕いて答える。

 冒頭20分ぐらいで、祐太郎だけでなく、圭司の頑固でプライドが高く、テリトリー意識が強い性格もよく出ていた。せりふの一つひとつに、シーンの一つひとつに無駄がなく、山田と菅田の掛け合いがテンポよく進んでいく。映画のような質感の映像も目に優しかった。

 しかも、パソコンやスマホに残された「デジタル遺品」に着目したところが興味深かった。意図的に残した“誰に見られても構わない記録”はもちろん、密かなコレクションから、こっそりとアクセスしたサイトの記録まで…。“人に見られては不都合な記録”も含め、個人の人となりがデジタルデバイスに詳細に残ってしまう現代。自分が突然死んでしまった時、誰にも見られたくないデータは一体どう処理したらいいのか。“自分事”として考えさせられる題材だ。第1話のラストで、坂上姉弟が「人って何人もの自分を持っているものね」(舞)、「その中から残したい自分を選ぶ」(圭司)と話していたのも印象的。私たちが日常的にSNSにアップしている写真などは、“残したい自分”そのものだ。

 このドラマの原案・パイロット脚本を務めるのは、『ストレイヤーズ・クロニクル』、『真夜中の五分前』、『at Home』などの作家・本多孝好氏。彼のほかにも金城一紀氏(『SP』シリーズ、『BORDER』シリーズ、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』)、瀧本智行氏(『グラスホッパー』『脳男』)、青島武氏(『あなたへ』『追憶』)、渡辺雄介氏(『進撃の巨人』『GANTZ』)、徳永富彦氏(『相棒』)が脚本づくりに参加。小説や漫画原作のドラマが多い中、ゼロから書き下ろされた完全オリジナル作品だ。

 第1話は、本多氏の脚本。警察官の不正が絡んでいて、アクションシーンも見応えがあった。祐太郎は、冒頭の警察官とのチェイスあり、非常階段で追手から逃れるシーンあり、5階から隣の建物に飛び移るシーンあり。圭司も車椅子を巧みに使い、左手だけで相手の動きを制する“戦闘能力”も披露した。

 第2話は、渡辺氏が脚本を担当。スマホ・データの死後削除を依頼していた詩織(コムアイ)が突然、「やっぱりデータは消さないでください」と書き残して死亡した。圭司と祐太郎は、詩織の心変わりの理由を探らざるを得なくなる。

 依頼人の数だけ人生があり、そこに隠された真相、物語がある。さらに、「今の祐太郎くんからは想像できない」(第1話の舞のせりふ)という祐太郎の過去も気になるところ。ただ、第1話で舞が「(祐太郎は)人を少しだけ優しい気持ちにすることができる」と言っていたとおり、見終わった後に少しだけ優しい気持ちになれるドラマだ。