Tik Tok“なかの人”が語る「め組のひと」ヒットの背景

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グローバルでのユーザー数2億人を誇るショートムービーアプリ「Tik Tok」(※サービス画面イメージ)

 2016年10月に中国版がリリースされ、昨年夏には日本を含むグローバル展開を開始したショートムービーアプリ・Tik Tok。日本上陸から1年にも満たない今年の春先より、このサービスが中高生を中心に急激なブームを起こしている。

過去に発生したTik Tok内での主なブーム

■ダウンロード数は世界で約2億 日本のユーザーの66%が動画を投稿

 Tik Tokとは動画撮影からフィルター、エフェクト、音楽による編集、そして投稿までスマホ1台で完結するという、モバイル世代のユーザビリティに特化したサービス。さらに15秒動画という気軽さや、美顔や足長などの“盛れる”機能が充実していることから、自撮りが日常である世代にとっての「可愛く」「カッコよく」「面白く」自己表現ができる新たなツールとして人気を博している。

 音楽業界では、近頃の倖田來未「め組のひと」のヒットを生んだプラットフォームとして注目を集めている。同曲を使った動画はTik Tok内だけでも再生回数2億5000万超、投稿数55万4000件超(18年7月現在)と今年春から起こったムーブメントと考えれば、これがいかに爆発的な数字かわかるだろう。

■このブームは「仕掛けではなく、まったくの自然発生」

 Tik Tokの運営会社・Bytedanceの日本法人の事業開発部 本部長・井藤理人氏によると、このブームは「仕掛けではなく、まったくの自然発生」であるという。

「Tik Tokは基本的にユーザージェネレイティッドコンテンツ(以下UGC)であり、ユーザーが作った動画をユーザーがシェアや“いいね”をすることで、大きなムーブメントへと育っていくのが通常です。『め組のひと』もリリースは2010年と決して新譜ではないですし、ブームの起点も1人の“とあるユーザー”の投稿だったと考えられます。楽曲を高速再生して、面白さや可愛さを演出するという意外性のあるアイデアもまさにUGCならではですよね」(井藤氏/以下同)

 “とある1人のユーザー”の1投稿がなぜここまでのバズを起こし得たのか。井藤氏は楽曲や振付のキャッチーさに加え、Tik Tokならではのエンゲージメントの高さを指摘する。

「Tik Tokの月間アクティブユーザー数が世界で約2億(7月時点)。日本のユーザー(ユーザー数非公表)の66%が動画を投稿しており、さらに90%以上がシェアやコメント、“いいね”をしているといった非常にアクティブな使われ方をしています。SNS内でのコミュニティを大切にし、そこでの流行を信頼し、自分もこの流行に参加したいという現代の若者の趣向にTik Tokはマッチしたのだと思います」

■音楽アーティストとの連携キャンペーンも増加

 また、Tik Tok動画に音楽は必須ではないものの、やはり音楽との親和性は高く、中国版ではNetEase、アメリカ版ではApple Musicといった音楽ストリーミングサービスとリンクした取り組みが始まっている。さらに、アーティストや楽曲のプロモーションにTik Tokを活用する事例も各国で増えている。

「国内でもピコ太郎さんやDA PUMPさん、倖田來未さんなどといったプロモーション活用事例が徐々に増えてきました。また韓国のYGエンタテインメントとはグローバル契約を結んでいて、BLACK PINKはPVではなく、自分たちの新曲を使った面白動画を限定配信するなど、Tik Tokユーザーにとって特別感を感じてもらえるような活用をされています。ユーザーはTik Tokをパーソナルなツールとして捉えてくれているので、上手に活用していただくことでアーティストとユーザーの深い関係を築くのにも貢献できるのではないかと思います。また、通常の動画は15秒ですが、公式アカウントを取得すると30秒の動画が配信できるようになります」

 なお、現在のユーザーは圧倒的に中高生だが、次なるボリュームが来るのは「20~30代のミレニアル世代」であると井藤氏は予測する。

「すでにInstagramerと呼ばれる方々がTik Tokに興味を示しているのを感じています。やはり自分を可愛く盛れるTik Tokの機能は、この層にとって魅力なのでしょう。今後は各企業さんとのパートナーシップがさらに進んでいくと思いますが、一番重要なのはユーザーにとってパーソナルなツールであり続けること。UGCとしての原点を見失わずに、このプラットフォームを日本でも育てていきたいと思います」