『カメラを止めるな!』熱狂に役者陣も困惑「早く忘れなければ」

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“全員”でチラシ配り&SNS拡散をしたなど、『カメラを止めるな!』熱狂の裏舞台を語った、出演者のしゅはまはるみ(左)、真魚(右) (C)oricon ME inc.

 6月23日の公開時は都内2館のみでの上映だった『カメラを止めるな!』がクチコミで広がり、続々と上映館を拡大。全国展開を開始する8月3日、TOHOシネマズ日比谷で“感染”拡大公開御礼舞台挨拶が行われた。低予算カルト映画で“伝説”になりつつある今作、登壇した俳優陣が感極まって号泣する場面も。興奮冷めやらぬ中、ORICON NEWSでは舞台挨拶後直後の出演者にインタビューを敢行。役者の立場からみた、全国の“カメ止めの熱狂”の様子を語ってもらった。

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■「クチコミの力は本当にすごい」

 『カメラを止めるな!』は、監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールのシネマプロジェクト第7弾作品。オーディションで選ばれた無名の俳優達と共に創られた渾身の一作。冴えない映像監督の妻を演じた、しゅはまはるみ、その娘を演じた真魚、テキトーな番組プロデューサーを演じた大沢真一郎、重要な役で登場する3名に映画の盛り上がりについて語ってもらった。

――今日(8月3日)から全国展開され、単館上映で始まった映画が124館まで拡大されるということになったわけですが…(※8月3日時点、現在は150館まで拡大)

【しゅはまはるみ】えっ124館なんですか? 舞台挨拶で上田監督が館数を間違えて喋っていると思っていたんですけれど…本当にそんなに多くなったんですか?

【大沢真一郎】毎日10館ずつくらい上映館が増えているみたいですよ。沖縄、香川も公開決まったんでね。

【真魚】毎日のように上映館が増えているので把握するのが追い付かない…本当にすごいですね。

【大沢真一郎】上映館数の報告が追いつかないらしいです。私たちも、毎日知らない情報を聴きます。「今日このテレビで紹介されるらしい」みたいなことを、知らない人のTwitter経由で知ったり(笑)。

――出演のみなさんの耳に届く頃には古い情報になってしまう拡大スピードって、すごいですね! 最初は単館で6日間のみの上映だった『カメラを止めるな!』ですが、どれくらいの時期から「これヤバい」と実感されていましたか?

【大沢真一郎】本当、段階を追っていく感じでした。一番最初は、単館で上映していた時も最初から満席が続いていました。1日1回、夜9時からのレイトショー上映だったのですが。映画館の開館が午前10時で、朝10時20分でチケットが売り切れていたんです。

――“レイトショーのチケットを朝に並んで買う”というのはなかなか聞かないエピソードですね。その段階でここまで全国に広がるという“感触”はありましたか?
【大沢真一郎】本公開は100%するだろうと思っていましたが、ここまでになるとは誰も思っていなかったと思います。でも、今広がったのは結果論で、単館で終わってしまう可能性もあったようですよ。

――なるほど、その壁を突破したきっかけ…出演者の皆さんから見て、人気の火付け役は何だったんでしょうか?
【しゅはまはるみ】最初の上映の時に本広克行監督、市井昌秀監督、深田晃司監督、今泉力哉監督ら有名な映画監督さんが来てくださって、トークショーの中で大絶賛をいただきました。そのコメントをチラシに入れさせていただいて、宣伝していましたね。

――映画界のインフルエンサーが広めてくださったんですね。
【真魚】本当にクチコミで広がっていったという感じです。宣伝も配給もなかったので、関係者全員でSNS で広めていこうと動いて、それが有名な方たちにまで伝わって、さらに広がっていったんじゃないでしょうか。“クチコミの力”って本当にすごいなと思いました。

■映画の仕事や芸能事務所からのオファーも…「人生変わる作品になった」

――上田監督は「ワークショップに安くないお金をかけて参加してくれたみんなの人生を変える作品を作らないといけない」という思いで今作に向き合ったということでした。人生は変わりつつありますか?

【しゅはまはるみ】私はTwitter やってなかったんですけれども、宣伝のために自分が増やそうと思って一生懸命頑張った結果、ほとんど稼働していなかったツイッターのフォロワー数がもうすぐ3000人になります。あと、実は映画のお話を1ついただいています。

【真魚】『カメラを止めるな!』に出ていることが名刺代わりになるので、やっぱり“チャンス”が増えましたね。「見たよっ!」て言ってくれる人もすごく沢山いて人とのつながりは本当に前より増えましたし、手っ取り早く自分のことを知ってもらえる。私は出演の話はまだないですけれど、今はフリーで活動しているのですが、事務所から声をかけていただきました。

【大沢真一郎】僕は最近はもう『カメラを止めるな!』の活動が全てですね。10年以上前に出演した作品が映画祭で賞を頂いたのですが、それを超えるくらいの反響を感じています。

■上田監督の指示の元、“全員で広めた作品”

――映画史にも稀に見る広がりだと思います。出演者の皆さんから見た、この熱狂をけん引してきた上田監督の“凄み”についてお聞かせください。

【しゅはまはるみ】“映画監督”というよりは全てを自分でプロデュースしている印象です。宣伝についても、企画会議についても「俺についてこい」と、みんなを巻き込んでいく。

【真魚】たとえば、チラシを作って配ったり、いろいろな所に置いてもらう交渉をしたり、役者陣が空き時間を作ってそれぞれ宣伝活動をしていたんです。

【しゅはまはるみ】けれども、そもそも上田さんが「この作品は皆が一生懸命頑張って宣伝するのにとても似合っている作品だから」とおっしゃっていたんです。

――全員一丸となって宣伝活動をするのは、まるで舞台の役者さんのようですね。
【しゅはまはるみ】映画が完成して終わりではなくて、終わった後は自分たちの力で広めていくんだ、というところまでけん引してくださって。そういうパワーがある方ですね。メジャーであることと良い作品であることはイコールじゃないですから。メジャーだろうがマイナーだろうが良い作品は良い。いい作品に出られて、それがメジャーになったっていうのがもう“最高”ですね。

――舞台挨拶ではヒロインの秋山ゆずきさんが「(カメラを止めるな!で)ブレイクしたい!」と笑いを取っていましたが、この代表作を皆さんはどう活かしていきますか?

【しゅはまはるみ】急に何かを考えたり決断したりしないといけない状況になったのが、この一か月だったので…。正直、反響が大きすぎてこれをどう生かしていいかわからない状態です。

【大沢真一郎】『カメラを止めるな!』に出てた人だと、この後も言われるでしょうから。逆に大きすぎるハードルになっていますね。役者としては、なるべく早く忘れないといけないことだと思います。

【真魚】『カメラを止めるな!』に負けないよう、私たちも頑張っていかないといけない。それに尽きますね。

【しゅはまはるみ】わたし、8月30日からから舞台公演があるんですけれど…ハードルが上がりまくっていて、戦々恐々しています(笑)。