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【 鎌田實さんに聞く(上) 】

優しい県民性大事に

周囲に尽くした被災者

鎌田實さんに聞く(上)

 かまた・みのる 東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。長野県の諏訪中央病院に赴任し「健康づくり運動」を推進した。チェルノブイリ原発事故の被災者支援やイラクの難民支援にも従事。現在は同病院名誉院長。「がんばらない」(集英社文庫)などベストセラー多数。66歳。

 近著「1%の力」で「1%は誰かのために生きよう」と説いた鎌田實さんは震災、原発事故後の本県でその精神を実践する人に出会った経験を語り、「優しい県民性を大事にしてほしい」と県民に語り掛けた。福島民友新聞社が行ったインタビューの内容を3回に分けて紹介する。 

 ―「1%の力」を世に出すに至った時代認識を聞かせてください。
 「20世紀は日本が『頑張った世紀』でした。しかし、21世紀は『一方的に頑張るだけではこの国は良くならない』『人生には頑張れない時期もあり、頑張らないことも大事』と考え、自著の『がんばらない』を世に出しました。あれから14年たち、もっと積極的に誰かのために生きないと、この国は駄目になるんじゃないかと考えるようになりました」

 ―震災、原発事故直後から南相馬市などに救援に入り、今も支援を続けています。活動の中で印象に残ったことは。
 「チェルノブイリ原発事故の被災地への支援を長年続けていることもあり、自分の役割と思って福島に入りました。体育館などが避難所となっていた震災直後、原発20キロ圏内などからの避難者20〜30人を、1カ月にわたり自宅で面倒をみている人が南相馬市にいました。自分が被災者であっても、ちょっと余裕のある人は、自分よりも困っている人たちのために行動していました。そういうあったかい姿を見たことが、僕が福島に通い続ける原動力になっています」

 ―「1%の力」では、会津若松市であった講演後のサイン会でのエピソードが紹介されています。
 「『がんばらない』を手にした、ある女性から『サインしてください。娘の仏壇に供えます』と言われました。聞くと、17歳で白血病で亡くなった娘さんが、本を読みながら病気と闘っていたと話してくれました。娘さんは生前、親友に手紙を託していました。亡くなった後、両親は親友から手紙を受け取りました」
 「『お父さん、お母さん、今まで大切に育ててくれてありがとう。病気になって不幸だって思ったこともあった。だけど今は全然不幸なんかじゃない。幸せだよ。だって、たくさんの優しさに出会えたから…』」
 「自分が死んだ後、お父さんとお母さんがどれほど悲しむかを想像しながら、少しでもそれを和らげようと手紙を残しました。どんなに厳しい状況になっても、負けない生き方があると教えられました。悲しい時ほど、悲しみは相手の身になることで癒やされます。震災直後、自分も苦しいのに周囲に尽くした被災者も、そのことを分かっていたのではないでしょうか」

 ―「1%の力」の実践と言えますね。
 「本で一番伝えたかったのは、1%でもいいから誰かのために生きてみませんかということ。30%、40%もとはいきませんが、みんなが1%ずつ誰かのために生きれば、世の中がうまくいくのではないかと思います。誰かのために生きるというのは、相手の身になるということです」

(2014年11月14日 福島民友ニュース)



( 2014年11月14日付・福島民友新聞掲載 )
 

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