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「記者たちは海に向かった」発売 本紙・震災報道の舞台裏

「記者たちは海に向かった」発売 本紙・震災報道の舞台裏

福島民友新聞社を舞台にした門田氏の著書「記者たちは海に向かった」

 福島民友新聞社が2011(平成23)年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故という未曽有の事態に直面した中で、新聞の編集、発行作業を続けた舞台裏を記録した「記者たちは海に向かった」(門田隆将(りゅうしょう)著、角川書店)は10日までに、県内はじめ全国の書店で発売された。
 11年3月11日、大震災の影響で福島市の本社は電源が失われるなど紙面制作の危機に陥った。読売新聞東京本社の協力も受け制作を継続。電源回復後、浜通りの記者から出稿された津波の被害を伝える原稿や写真が紙面を埋め尽くし、12日の朝刊で「県内震度6強 浜通りに大津波」などと状況を報じた。
 南相馬市を担当していた相双支社の熊田由貴生記者は津波で殉職した。著書では、津波が来るのを住民に伝えながら、自らは犠牲となった熊田記者の人生や、震災と原発事故の中で取材、紙面制作に当たった福島民友新聞社の社員の思いを記している。
 門田氏は高知県安芸市生まれ。新潮社勤務を経て独立し、数々のノンフィクション作品を執筆している。昨年9月から、福島民友新聞社で当時、浜通りに勤務していた記者をはじめ本社で紙面制作に当たった担当者、新聞販売店などを取材した。同書は、1728円(税込み)。

著者・門田隆将氏が寄稿

 

「記者たちは海に向かった」発売 本紙・震災報道の舞台裏

門田隆将氏

心捉えた記者の執念

 時は、人々の哀(かな)しみを癒すことができるのだろうか。本を書き終えて、私は今、そのことを考えている。
 激震と津波と放射能汚染という“複合災害”によって、読者も記者も販売店も、浜通りの一部から去らざるを得ない状況に追い込まれ、さらに前途有望な熊田由貴生記者を喪(うしな)った福島民友新聞が、この3年をどう闘い抜いたかをジャーナリストである私自身が知りたくて仕方なかった。
 取材に入った私は、想像を遥(はる)かに超えた「現実」があったことを知った。なかでも私の心を捉えたのは、石にかじりついても真実を報道し、時代を切り取ろうとした記者たちの恐ろしいまでの執念だった。
 熊田記者が自分の命と引きかえに地元の人の命を救っていたことがわかった時の感動や、逆に彼の死が同僚の記者に重荷やトラウマを課すことになっていく予想もしない現実に、私はノンフィクションでしか知ることができない人間の深淵(しんえん)を垣間見た思いがした。
 時よ、哀しみを癒せ。それが難しいことを知りながら、私はこの愛すべき、そして苦悩する福島民友の記者たちに、心の底からエールを送りたいと思う。(原文のまま)
(2014年3月11日 福島民友ニュース)



 

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