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「戻る」…母の決断 育児のため、自主避難者の“苦悩”

 東京電力福島第1原発事故による放射線への健康不安などで、避難区域以外から自主的に避難する「自主避難者」も3年の時間経過とともに、避難の在り方を考える動きが出始めた。

 渡辺さん、納得できぬ「大丈夫」
 「もう少し避難先に居たいとも思ったが、子育てと家計のことを考えると難しかった」。避難区域外で、特定避難勧奨地点にも指定されていない伊達市の渡辺育子さん(31)は2011(平成23)年8月から13年3月までの約1年半、幼い息子2人を連れて新潟市に自主的に避難した。
 避難を決めたのは、原発事故による放射線の子どもへの影響が「安全かどうかはっきり分からなかったから」。先に避難した友人を頼り新潟市に母子で避難した。
 土地勘のない場所での生活は慣れるまで苦労もあった。「なんで避難したの?」と尋ねられたことも。県内と県外の放射線に対する理解に温度差も感じた。それでも「子どもが心配」という本心を伝えると温かく迎えられた。
 長男の小学校入学や出産を控えていたこともあって自宅に戻った。しかし、避難先との空間放射線量の違いが今も気に掛かる。放射線に関する講演会や勉強会に何度も足を運ぶが、繰り返される「大丈夫です」「安全です」という言葉にどうしても納得できない。
 子どもの外遊びに対しては以前より寛容になったが、食べ物は今も県外産を選んでいる。どの行動も親心から。「本当は移住したい。でも問題がいっぱい。ここで暮らしながら気を付けていくしかない」と複雑な心境を明かした。

 中村さん、「家族の幸せ」最優先
 山形市に家族4人で避難する郡山市の中村美紀さん(38)は避難生活をやめて郡山市に戻る決断をした。
 職場が県内にある夫と離れ、11歳と6歳、4歳の娘3人と避難したのは2011(平成23)年8月。放射線の知識がない中で「母としてこのままで子どもを守れるのか」と考えたためだ。夫は月に2回程度、1時間半かけて車で避難先に駆け付け、1泊して帰る。夫が去ると、父親が一番恋しい時期の娘はさみしくて1時間ほど泣き通した。「パパと会えない方がストレスじゃ?」「夫をサポートできていない?」と自問を続けた。
 「家族の幸せ」を考えながら暮らす中で、郡山市の自宅周辺は除染が進み、線量が一定程度低下した。「放射線量が下がらない中でどう暮らすか。そのことにやっと向き合える程度の線量になった」。自分の妊娠や夫の転勤が重なったことも決断を後押しした。
 18日に自宅に引っ越す中村さんは「子どもが中学、高校生になると移動できなくなる。子どもの年齢が大きい」と話した。放射線量への認識のほかに、子どもの年齢が自主避難から帰還に向かわせる分岐点だと感じている。
(2014年3月3日 福島民友ニュース)



 

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