minyu-net

ホーム 県内ニュース スポーツ 連載 社説 イベント 観光 グルメ 健康・医療 購読申込  
 | 福島民友ニューストピックス写真ニュース震災・原発関連県内選挙おでかけ四季の花だよりおくやみ情報ニュースカレンダー
 
飯舘の高橋さん、避難先で営農再開 故郷を思い作業に汗

飯舘の高橋さん、避難先で営農再開 故郷を思い作業に汗

「福島市で作業を再開し、生き生きと過ごせている」と話す飯舘村の高橋さん

 「生活のため、体のため、何もしないままではいられなかった」。全村避難が続く飯舘村の高橋幸吉さん(59)は昨年4月、福島市土船で花卉(かき)栽培を再開した。「生き生きと過ごすことができている」と晴れやかに語る。
 避難前は花のほか、野菜や繁殖牛に取り組んでいた。避難後は仕事ができない状況が続いていたが、「賠償もいつまで続くか分からない」と営農再開を決意。4棟のハウスでは、妻、2人の息子と共にトルコギキョウとストックを栽培する。暑さへの対応など飯舘とは勝手が違う作業に苦労も多い。土作りだけでも3、4年を見通す。
 「避難が解除されたら村に戻りたい」。自宅は帰還困難区域の長泥地区で、長期避難は免れそうにない。国は帰還する人、帰還しない人それぞれを支援する方針に転換したが、高橋さんたちには、選択をするための環境や条件さえ見えてこない。ただ、農作業で得る喜びは大きい。「何より今はご飯がおいしいんだ」。張りのある生活を取り戻しつつある高橋さんは、「まずはしっかりと生活の基盤をつくりたい」と言い切る。

 ペンション経営・呑田さん「都路、捨てられない」
 4月1日に避難指示が解除される田村市都路地区。避難区域内でペンションを経営する呑田理美子(のみたりみこ)さん(71)は「都路はついのすみか。捨てることはできない」と帰還への思いを語る。
 同地区の避難区域内では昨年8月から宿泊が可能となったが、解除準備に向けた特例のため、ペンションで宿泊するには申請が必要だった。4月1日からは縛りがなくなる。呑田さんは「震災前と同じ営業ができる」と期待を込める。呑田さんは自ら帰還を決めたが、「人それぞれ考えは違う。自分の人生は自分で立て直すしかない」と帰還以外の選択にも理解を示す。ただ、「避難生活を続けるにしても、いずれは決断しなければならない時は来る」と考えている。
 住民意向調査では、帰還を望まない人も少なくない。呑田さんは「震災前と同じ形に戻ることはできない。支え合いを大切に、また違う形のコミュニティーをつくっていきたい」と話す。

 南相馬の解除目標、歓迎と疑問の声が交錯
 南相馬市は帰還困難区域を除く避難区域の解除目標を2016(平成28)年4月と定め、国も正式に認めた。市は昨年11月から市内外で避難住民への説明会を開き「一定の了承を得られた」と判断、早期帰還を望む住民からは「生活再建の見通しがつく」と歓迎の声が上がる。一方で「住環境が整うのか」「時期尚早」と目標の実現に疑問を呈する住民もいる。
 市は国直轄の除染、がれき処理の終了時期にめどが立ったとして目標を決めた。時期を示すことで住民の生活再建に見通しをつけ、国の事業にこれ以上の遅れが出ないよう、主体的な立場を示したい思惑も絡む。ただ、避難を強いられている住民は「あと数年で(避難区域が)生活できる環境になるとは思えない」と本音を漏らす。同市小高区の主婦(59)は「買い物や食事ができる場所がなければ帰っても生活できない」と話し、「まだ判断できない」と嘆く。
 区域内の400超の事業所のうち、7日現在で市に再開を届け出たのは49件。一部小売店が営業しているが、スーパーや飲食店は再開のめどが立っていない。
(2014年3月10日 福島民友ニュース)



 

福島民友新聞 購読ご案内

ご購読のお申込

会社案内
会社概要|▶支社・支局のご案内|▶窓の投稿
広告局のページ|▶福島民友愛の事業団
社内見学|▶移動編集局|▶民友メールアドレス
福島民友NEWSmart



  minyu-netメニュー | ホーム | 県内ニュース | スポーツ | 連載 | 社説 | イベント | 観光 | グルメ | 健康・医療 | 購読申込 |

福島民友新聞社
〒960-8648 福島県福島市柳町4の29

個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c) THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN