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個人線量を重視へ 住民理解重要、国は納得できる説明を

個人線量を重視へ 住民理解重要、国は納得できる説明を

郡山市で進められている住宅除染。作業で発生した土壌を埋設保管するため敷地内に穴を掘る作業員

 原発事故で汚染された生活環境を取り戻すため、県内で進められている除染だが、市町村が行う除染は全体の3割強の完了にとどまる。国は除染の加速化をうたい、長期目標の追加被ばく線量「年1ミリシーベルト」を推計した空間線量の目安「毎時0.23マイクロシーベルト」ではなく、個人線量の実測値を重視する方針に変えた。0.23マイクロシーベルトを超える環境でも年間では1ミリシーベルトを下回るとの測定結果を県内市町村で共有するためだ。しかし新方針は突然示され、説明不足と批判を招いている。県民が納得できる丁寧な説明があらためて国に問われている。
 郡山市の除染担当者は、新方針で国がこれまでの説明不足を認めたことに一定の評価をする。しかし「毎時0.23マイクロシーベルト」については「住民の理解とは食い違っており、これからしっかりと説明していかなくてはならない」と述べ、国に対し積極的な住民説明の機会づくりや情報発信を求めた。
 個人被ばく線量を重視する考え方を示した新方針。「リスクコミュニケーションの材料の一つとしては有効になるかもしれない」と評価する。
 ただ「同じ家族でも、行動パターンはさまざまで被ばく線量も違う」と担当者。個人線量の実測値は、仕事や学校など日常の生活パターンや、活動する場所などで一人一人異なる。「場を移動する個人の被ばく線量と、現場が動かない除染の判断をどのように整合させていくのか」と語り、個人線量を重視した新方針に対し、住民の理解を得る課題を挙げた。
 一方、福島市は2011(平成23)年9月に策定した除染実施計画を12年に改定して除染を進めている。新方針について、国があくまで「参考」としているため、現行計画に基づいて除染を進める方針を変えない。ただ、年間の追加被ばく線量1ミリシーベルト以下を目指す方針は市と同じ考えであるため、新指針を示されても「国との大きなズレはない」としている。
 計画では、除染は空間線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上の地域を対象に実施するとしている。このためこれまでと同様に「0.23マイクロシーベルト」を目標に作業を進める。除染で0.23マイクロシーベルト以下にならなかった場合には住民の要望を受け追加除染の実施も検討する。

 伊達、不安解消へ追加作業
 伊達市は、市全域を放射線量の高低でA、B、C3エリアに分けて除染を行い、住宅除染を昨年度で一通り終えた。このうち比較的線量が低く、局所的に除染した「C」エリアでは本年度、住民の要望や線量に応じて追加除染や線量測定などを行う「フォローアップ」を進めている。
 除染の効果などで、昨年7月から今年6月までの個人線量計(ガラスバッジ)による個人被ばく線量は市全体の平均で年間0.75ミリシーベルト。前年の同0.89ミリシーベルトから低下、国が長期目標とする同1ミリシーベルトを下回った。同エリアに位置する地域の平均値は他地域より低かったが、放射線への不安を拭えず、市は追加除染の実施を決めた。
 市はエリア内の全約1万5000世帯に要望などを聞く調査票を配布。7月末現在で4859件の回答があった。このうち匿名や要望のなかった分を引いた3088件で対応。同月末の進捗(しんちょく)率は13.31%で、実際に除染したのは5件。局所的に線量の高い部分(ホットスポット)を取り除く形で作業を進める。
 追加除染を要望した農家の男性(40)は「面的に除染してほしい。除染で精神的なストレスも軽くなる」と訴える。個人線量の測定で、年間1ミリシーベルトを下回ると確認されても不安を持つ住民にどう安心を提供するかは今後、除染を終える市町村が直面する課題ともいえる。市担当者は「科学的な根拠を示しながら住民に理解を求めていく以外、方法はないだろう」と話した。
(2014年9月5日 福島民友ニュース)



 

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