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教育旅行“復活に力” 千葉・御滝中、安全性を確認し再開

教育旅行“復活に力” 千葉・御滝中、安全性を確認し再開

地域住民への感謝を込め、合唱を披露する御滝中生=4日、会津若松市の鶴ケ城会館で

 県や観光関係者は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で大きく落ち込んだ本県への教育旅行の復活に力を入れている。本県での学びを体験してもらうのが最優先だが、関係者にとって、教育旅行で本県を訪れた子どもたちが大人になって観光客として再び本県に来てもらうための「先行投資」としての意味合いもあるからだ。ただ、震災と原発事故以降は、被災地学習という新たなテーマも加わり、本県への教育旅行の目的も変わってきている。
 千葉県船橋市の御滝(おたき)中(松本淳校長)は37年前から、修学旅行で会津若松市を訪れ、地元産業に触れ地域住民と交流する「ふれあい体験」を行っている。江戸、明治期に創り上げられた歴史や文化に触れ、「什(じゅう)の掟(おきて)」に代表される会津人気質を学んでほしいと始まり、慣例となっていた。
 2011(平成23)年3月の東日本大震災と福島第1原発事故で、例年通りの修学旅行を続けられなくなった。放射能への不安などから、11〜13年度の3年間、本県以外に旅行先を変更、伝統は途絶えたかに思われた。しかし14年度、公表されている放射線量の数値などから特に問題はないと判断し、会津若松市への旅行を検討。小市昌夫前校長をはじめとする職員が、会津若松市を訪れて放射線量を測定するなど状況を確認し、保護者会でデータを元に安全性を訴えた。保護者からは「兄や姉も(会津で)お世話になった」「自分も素晴らしい体験をした」など、旅行再開を受け入れる意見が上がり、会津への修学旅行が復活した。
 今月4日、同市の鶴ケ城会館に、御滝中の修学旅行生184人の姿があった。市内を巡り歴史や文化とふれあい、同会館などで合唱を披露して地域住民に感謝を伝えた。松本校長は「同窓生、保護者含め、修学旅行で会津に『行きたい』ではなく『帰りたい』という強い願いがあった。ようやく昨年帰ってこられた」と語る。酒蔵や会津の伝統芸能「彼岸獅子」を見学したという吉田萌々花さん(3年)は「みんな優しくて、地元では味わえない体験ができて感動した」と話す。教育旅行で会津若松市を訪れる学校は、震災前の半分ほどで現状は厳しい。それでも取り組みを続ける観光関係者の願いが届いた学校もある。「ここにまた来たい」。吉田さんの笑顔が輝いた。

 被災地の現状から学ぶ 
 本県への教育旅行といえば、スキー学習や会津の歴史などを学ぶケースが多いが、震災以降は被災地を訪れ、住民から体験談を聞いたり、地元の高校生と交流する県外の学校もある。2014(平成26)年1月、兵庫県の吉川高が修学旅行で相馬市などを訪れた。相馬市教育委員会によると、吉川高は東日本大震災後に県外から修学旅行生が同市を訪れた唯一の高校。生徒たちは飯豊小(相馬市)の6年生とパークゴルフで交流した。飯豊小の高橋誠校長は「(被災地の子どもたちと)同じ環境に身を置くことで見えるものがある。児童の元気、市の現状を発信できた点で交流は意義深かった」と評価する。
 震災前から続く交流事業の一環で、県外の小学生が夏休みなどを利用して同市を訪れる例もある。市教委は「震災を伝える意味でも、義務教育の時期に本市に来てもらうことは重要」と話している。しかし、吉川高のような学校が増加傾向にあるとは言えない。被災地への研修を受け入れている福島学グローバルネットワーク(福島市)の関根文恵事務局長によると、東京電力福島第1原発の汚染水問題などが報じられる中、本県を教育旅行先に選んだ学校に抗議の電話が来ることがあるという。「そういうことがあると『旅行先は福島県でなくともいい』となってしまう」と関根さんは悔しそうに話す。
 ただ、県外の学校が多く訪れればいいというわけではない。関根さんは「災害が起き、避難するときの課題などを自分の地域に持ち帰って考えてほしい」と話す。物見遊山ではなく、本県の現状を通し、地域が抱える根深い課題をあらためて考えてもらいたいというのが願いだ。
(2015年6月11日 福島民友ニュース)



 

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