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避難住民の帰還の可否が“曖昧” 「はっきりさせて政策を」
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福島市で開かれた福島復興再生協議会。根本復興相は「一緒に課題に立ち向かう」とあいさつしたが、冷めた思いで受け止める出席者もいた=8月11日
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福島市で8月に開かれた国や県、避難市町村などによる福島復興再生協議会。復興相の根本匠(62)は帰還支援のための予算執行権の一部を福島復興再生総局に委譲したなどの”実績”を強調し、こう締めくくった。「皆さんのご意見をお聞きし、一緒にこの福島の課題に立ち向かっていきたい」。いわき市副市長の鈴木英司(61)は「半年前も同じこと言ってたな」と思った。
地元が苦言呈す構図
この日の会議は、東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域の再編完了を受けて開催されたが、国側から帰還についての新たな施策は説明されなかった。
会議では、環境相の石原伸晃(56)の発言が物議を醸した。中間貯蔵施設をめぐって「県をはじめ皆さんが、福島県のために自ら行動するという認識を持ってもらうことが重要」と述べた。環境省は国主導による施設整備を強調してきたが、石原の発言は施設設置に向けた調整が進まないのを地元に責任転嫁したとも取れる内容だ。
鈴木は「思っていると人間は口に出してしまう」と感じた。石原はこれまでも中間貯蔵施設をめぐり不用意な発言があり、釈明を迫られた経緯もある。石原は待ち構える報道陣を避けるように、警護の警察官とトイレに入り、そのまま姿を消した。
「いわきから福島まで遠いのに」。鈴木は実りのない会議に徒労感を覚えながら会場を出た。この日の会議に限らず、国と避難自治体の会議では、避難市町村の声を聞くという姿勢が強調される一方で、避難市町村側が国の施策の遅れに苦言を呈す構図が目立ってきている。その理由の一つに、避難住民の帰還の可能性を曖昧なままにしていることを挙げる声もある。
このままじゃ早死に
「帰れない場所があるんだから、そこに土を持っていけばいい」。浜通り選出の地方議員(58)は、除染のための仮置き場設置をめぐる説明会で聞いた住民の一言が忘れられない。環境省の担当者は「それぞれの地区に仮置き場を設けるのが前提」としか言いようがなかった。
「高線量のままなのに、いつまでもみんなが帰れるだなんて夢物語を語っても仕方ない」。その議員も本音をぶちまける。「国はそろそろ、住める地域、住めない地域、帰れる、帰れないをはっきりさせて、メリハリのある政策を打ち出すべきだ。このままじゃ長生きできる人だって、先行きを悲観して早死にしてしまう」(文中敬称略)
(2013年9月19日 福島民友ニュース)
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( 2013年9月19日付・福島民友新聞掲載 )
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