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原発災害・「復興」の影
炉を廃する
 
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「情報収集」模索する県 対応“国任せ”指摘の声…根強く

「情報収集」模索する県 対応“国任せ”指摘の声…根強く

県政記者室で開かれる定例会見には、原子力安全対策課職員(左端)の姿もある=1日、県庁

 「情報が足りないと、受け取る側は足りない部分を想像し、必要以上に不安になる。風評被害と同じ構図だ」。原発事故直後、双葉郡などからの避難者の対応に当たった、浜通りの市幹部横田憲一(52)=仮名=はこう指摘する。県はちゃんと情報を取れているのか―。
 
 会見で新情報を得る
 「定時のレクを始めます」。県庁2階の県政記者室に東京電力社員の声が響く。地元報道機関向けに東電が開いている記者会見。地上タンクからの汚染水漏れなどもこの場で説明される。そこにはボイスレコーダーで録音しながらメモを取る県原子力安全対策課の職員の姿もある。
 同課も東電から記者会見と同じ資料の提供を受け、社員から説明を聞いているが「記者の質問で新たな事実が出てくる場合がある」という。放射性物質を大量放出する事故を起こした原発の立地県だが、県が東電から得ている情報は少なく、スピードも報道機関に比べてそう速くはない。
 同課長の渡辺仁(48)は今年4月の着任直後から、地下貯水槽の汚染水漏れ事故など対応に追われた。「事故は収束していないじゃないか」とあらためて感じた。
 廃炉について制度上、何ら権限を持たない県の意向を、国や東電が尊重する態度を示すのは「道義上」にすぎないことは分かっている。それでもトラブルのたびに国や東電に対し再発防止策の徹底、情報提供の充実を再三訴えてきた。最近になって、ようやく国や東電は、要請や質問への反応が良くなってきたと感じている。五輪招致を受け、政府が汚染水対策に本腰を入れ始めたからという見方もあるが、渡辺は県などの訴えが伝わりつつあるのだとみている。
 
 市町村は厳しい見方
 しかし、渡辺の思いとは裏腹に県の廃炉対策への市町村の見方は厳しい。避難指示区域を抱える沿岸市町村の幹部(58)は「原発は国策だからと、県は対応を国任せにしている」とみる。浪江町の原発事故担当者は「町でできることには限界がある。代表して情報収集する役割は重要」と県の本来あるべき姿を思い描く。事故発生後、避難を迫られた町を危機に陥れたのは情報の不足だった。
 渡辺の耳にも情報不足の声は当然入ってくる。「情報の取り方や示し方は考えなければならないと思っている」。廃炉作業の中で、県ができることは何か―。事故から2年8カ月近くを経た今も答えは定まらない。(文中敬称略)

(2013年11月3日 福島民友ニュース)



( 2013年11月3日付・福島民友新聞掲載 )
 

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