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原発災害・「復興」の影
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15年1月「搬入開始」間に合うか 用地買収…険しい道のり

15年1月「搬入開始」間に合うか 用地買収…険しい道のり

町政懇談会では住民から中間貯蔵施設の質問が相次いだ。町は「まだ調査を受けただけ」との立場だ=11月17日、大熊町いわき連絡事務所

 「中間貯蔵施設が予定通りに完成するわけはない」。会津若松市に避難する大熊町の元会社員山本秀一(51)はにべもなく言い放った。環境省が除去土壌などの搬入開始のめどとする2015(平成27)年1月まで1年余。「土地の買収にはものすごい力がいる」。そもそも大熊町はまだ設置を受け入れていない。
 搬入開始時期には、県内関係者から実現を疑問視する声が上がる。調査地のある大熊、双葉、楢葉3町のうち、双葉町は調査中で、同省は3町や県に正式な形で設置を申し入れできない。3町や県の側も、申し入れがあって初めて受け入れを検討する材料がそろう。
 大熊町長の渡辺利綱(66)が「調査受け入れの時点で大きな方向性は出ている」と話すように、最終的には申し入れを受け入れざるを得ないとの見方が強いが、同省が年内に設置を申し入れても、町や県側の判断は年を越す見通しだ。同町の担当者は「環境大臣は(申し入れを)早くしたくてしょうがないんじゃないの」と推測する。
 福島第1原発周辺で約15平方キロの土地取得を検討する環境省は、国の公共事業による土地取得と同等の価格で買い上げる方針だが、地権者は数千人に上る。中間貯蔵施設整備の工程表で用地取得を6カ月間とした同省だが、国土交通省のように大規模な用地買収の経験はない。
 「通常の買収と原発被害は違う。特別な価格で買い上げてほしい」と話す住民もいる。土地の利権関係が複雑で不動産登記も現状と合わない事例が多く、原発事故損害賠償が遅れる要因になった。用地買収だけでも険しい道のりだ。

 「頑張るしかない」
 環境省中間貯蔵施設チーム長の藤塚哲朗(56)は「15年1月に施設が完成するとは言っていない」と強調する。「当然15年に全てができはしない。造りながら、できたところから搬入する。搬入開始は15年1月を堅持したい」。工程表では既に土地取得に入っている段階で、目標通りの搬入開始が日々難しくなりつつあるのは分かっている。「頑張るしかない」

 不信感募らす住民
 設置への流れが進みながらも、何も正式には決まっていない状況に避難者は、政府や県、町への不信感を募らせていく。山本は「施設の話が進まないままだと、世間の目が『(設置は)しょうがない』という雰囲気となる。それを待ってるのか」と複雑な思いを吐露する。(文中敬称略)

(2013年11月30日 福島民友ニュース)



( 2013年11月30日付・福島民友新聞掲載 )
 

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