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原発災害・「復興」の影
貯蔵する
 
【 5 】
県外搬出…現実味薄く 「最終処分」受け入れ、見通しなし

土壌などの県外搬出の法制化を求める佐藤知事(右)に、大島衆院議員(左)は「さまざまな角度から考える」と答えるにとどまった=11月12日、県庁

 「(除染で除去した土を)県外に移すなんて無理」。大熊町からいわき市に避難した農業猪狩松一(66)は、除去土壌を保管する中間貯蔵施設の「中間」という言葉を「どうでもいい」と思っている。「最終的にも、受け入れ先なんてあるはずがない」
 国は2011(平成23)年10月、施設に運んだ土壌は「貯蔵から30年で運び出す」という方針を打ち出した。12年7月、当時の民主党政権が県外搬出を閣議決定、法制化する方針を示したが、実現しなかった。

 法制化の言質避ける
 現在の与党は11月に発表した復興提言で「国が責任を持って最終処分場に搬送する必要がある」と明記した。しかし、県外搬出の法制化を求めた知事佐藤雄平(65)に対し、提言を主導した自民党の大島理森(67)は「さまざまな角度から考える」と返答、法制化の言質を取られるのを避けた。
 施設設置の調査は今月上旬にも完了し、政府が調査地の大熊、双葉、楢葉3町や県に施設設置を正式に申し入れる見通しだが、県外搬出の具体像は示せないとの見方が強い。町や県は30年後の見通しが示されないまま、施設受け入れを迫られる。環境省中間貯蔵施設チーム長の藤塚哲朗(56)は「復興のためには除染、除染のためには中間貯蔵施設が必要」として除染加速を盾に理解を求める構えだ。
 正直なところ、藤塚にも30年後のことは想像がつかない。「(貯蔵物を圧縮する)減容化の技術がどうなっているのか分からない。中間貯蔵に全力を挙げながら考えていく」。藤塚の頭には、30年たてば施設に運び込む土壌に含まれる放射性物質の力(放射能)は衰え、濃度は相当下がるとの考えもある。富岡町の管理型処分場で最終処分する計画の汚泥などと同程度の10万ベクレル以下となれば、処分法は広がるかもしれない。

 答え「決めさせるな」
 11月下旬には、国が施設や緩衝地帯の用地を国有化する方針を固めたことが明らかになったが、猪狩は「国有地になってしまえば、あとは最終処分場につながっていく」と思っている。「30年後なんて、帰りたいと思ってる高齢者はほとんど生きていないだろう。政治家も多分、同じ。責任とる立場にはない」。半面、国が町や県に施設の調査や設置をいちいち申し入れ、了解を得た形にしようとするのが猪狩には気にくわない。「最終処分場にするならするでいい。でも、それを俺たち避難者に決めさせるな」(文中敬称略)

(2013年12月3日 福島民友ニュース)



( 2013年12月3日付・福島民友新聞掲載 )
 

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