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除染業者、不正な“中抜き”横行 一部で危険手当の不払い

除染業者、不正な“中抜き”横行 一部で危険手当の不払い

月18日間ほど除染で働いた作業員の給与明細。特殊勤務手当(危険手当)に比べ基本給が低く抑えられているのが見て取れる

 「いまだに賃金不払いや雇用契約書を交わさない現場がある」。ふくしま連帯労働組合書記長の佐藤隆(60)は除染作業が始まった2012(平成24)年夏ごろから、除染作業員の相談を受け、多くの除染業者と交渉を重ねて待遇改善を図ってきた。

 日給の総額は1万円
 同労組に昨夏、特殊勤務手当(危険手当)の一部不払いの相談をした北海道の男性(47)は現在、郡山市で除染の仕事をしているが、1月に現場に入ってきた作業員から「ここに来る前の葛尾村の現場の作業員は日給1万円で働いていた」と打ち明けられた。同村の除染なら危険手当だけで1万円が支払われ、さらに時給が支払われるため、本来なら日給は2万円近くになるはず。「以前の自分と同じだなと思った」
 男性も1年前、国直轄除染の楢葉町の現場で、日給1万円で働いていた。「日当1万円で寮、食事付き」との求人に応募した。国から除染を請け負った大手ゼネコンの下請け業者からさらに業者を一つ挟んだ「3次請け」の業者の下で働き始めたが、業者からは危険手当が付く地域という説明はなかった。
 男性は同手当の存在を知り、現場責任者に聞くと「2次下請けの会社から1人当たり1万1000円しかもらっていない。作業員に1万円払ったら1000円しか残らない」と言われた。「多重下請けで、すでに危険手当の分も抜かれていた」

 満額もらえぬ労働者
 同労組によると、環境省などの指導で昨年夏ごろから、危険手当は適正に支払われる職場が増えたが、日給は総額1万6000円程度。危険手当と最低賃金分の給料を足すとおおよそこの金額になるが、「宿泊費や食費という名目で差し引く業者もいて、満額もらえない労働者も多い」という。
 国直轄除染を行う大手ゼネコンの鹿島建設、大成建設、大林組は福島民友新聞社の取材に対し「各事業主に確認し、賃金が適正に支払われるよう、繰り返し指導している」などと回答する。除染業務などを請け負う業者でつくる双葉郡復興事業協同組合専務理事の遠藤郁夫(63)は「組合に加盟する業者は、賃金台帳でお金を管理して環境省に報告しているから不正はない」とする。しかし、2次下請け以下で台帳に載らないお金の動きがあったら、元請けで全て把握するのは難しいという。「除染の仕事があり過ぎて、まともな地元業者以外も入り込めるから不正な中抜きも起きる」と遠藤は推測する。(文中敬称略)

(2014年2月2日 福島民友ニュース)



( 2014年2月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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