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原発災害・「復興」の影
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【 5 】
寄宿舎建設であつれき 背景に県外除染作業員への不安

伊達市月舘町で建設が進む除染作業員の寄宿舎。周辺住民からは建設の撤回を求める要請活動も起こった

 「県外から来る作業員も住むんでしょ? 一体、どんな人たちなんだろう」。伊達市月舘町で商店を営む高木サダ子(62)は、近くに建設中の除染作業員の寄宿舎について不安を口にする。
 地元の下手渡(しもてど)自治会が受けた説明では、寄宿舎は隣の飯舘村などの除染を共同企業体として請け負う大成建設(東京)が作業員用として建設を進めている。
 最大で500人以上の作業員の入居を見込む。同自治会の人口は約270人で、そのほぼ2倍。「(県内で)除染作業員による事故や事件が多発しており、地域住民の心配や不安が増幅している」。自治会は昨年11月、除染事業を発注する環境省に対しそんな文面で建設の撤回を要請した。

 摘発者急増し計178人
 こうした不安の背景にあるのは、県内で事件を起こしたとして摘発された除染作業員や関係者が急増している事実だ。県警によると、これまでの摘発者総数は計178人で、このうち県外から来たのは56.7%に当たる101人。除染に投入される国費を狙う暴力団の関与も指摘されている。
 結局、寄宿舎建設は撤回されず、自治会は昨年12月、同社が警備会社による夜間パトロールを実施することなどを盛り込んだ協定を同社などと締結した。一方、環境省によると、伊達市内の他の場所でも寄宿舎の建設計画があるが、住民の反対で計画が凍結している。

 地元業者で組合設立
 「関西弁で話されると、何か怒られているように感じる」「地域を分かっていない人は手を抜く」。昨年から住宅の除染を行う国見町。着手前の懇談会で住民からそんな意見が相次いだことから、地元業者による組合を設立し、除染に当たる。
 「地元業者が実施していても、『作業現場に県外ナンバーの車が止まっているのはどうしてか』などと問い合わせがある。町民の県外作業員への不安は大きい」。町原発災害対策課企画管理係長の羽根洋一(50)は住民の心情についてそう語る。
 こうした状況に、作業員の側からは戸惑いの声が上がる。関東地方から本県に入り、昨年9月から除染作業に当たる男性(52)は現場で住民が「除染は県内の人にやってほしい」と話していたのを人づてに聞いた。
 事件を起こす人が一部にいることで、県外からの作業員が全て悪いイメージで見られていると感じる。「大半の作業員は一生懸命仕事をしている。県外だからと敬遠されるのはとても悔しい。福島の復興の力になろうと思い、ここに来たのに」(文中敬称略)

(2014年2月3日 福島民友ニュース)



( 2014年2月3日付・福島民友新聞掲載 )
 

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