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原発災害・「復興」の影
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【 7 】
計画実現…焦る環境省 富岡町、現地事務所と“温度差”

環境省が昨年6月に示した富岡町の除染計画。町の要求で計画の見直し方針が盛り込まれた

 「環境省は現場を分かっていない」。町職員からそんな嘆きが漏れるのが聞こえた。国直轄で行われる富岡町の除染計画がまとまったのは昨年6月。計画には除染の完了時期が「2014年3月末」とある。同町はまだ部分的な先行除染が行われた程度なのに、完了まで9カ月しかなかった。

 3月完了にこだわり
 「霞が関と町に温度差があった」。町復興推進課長の高野善男(59)は漏らす。環境省出先の福島環境再生事務所には14年3月の完了は無理と何度も言った。それは同省にも伝わっているはずだが、同省は他市町村と同じ14年3月完了にこだわっていた。町は「夏頃を目途に(完了時期の)見直しを行う」と明記するのを条件に計画をのんだ。
 除染計画策定が遅れたのは、全町が対象の警戒区域再編の遅れに端を発する。町は帰還困難区域とそれ以外の地域の財物賠償を一律とするよう国に要求、国は一度は一律賠償を認めたが、その後、慎重な姿勢に転換したため、再編をめぐる町と国の協議は停滞。除染計画策定にも影響した。
 町は今、楢葉町に役場の出先を設け、除染に向け町民と環境省との同意交渉に職員を同席させている。これも国への不信感の表れ。住民が十分納得しないまま除染加速に焦る国と同意しないよう助言している。一方、福島環境再生事務所は市町村と本省との間で苦境に立たされている。全てそれが理由というわけではないが、住民説明などを担当するグループのリーダーに退職が目立つという。

 「除染も政治なんだ」
 同事務所調整官の小沢晴司(52)は、事務所職員が同意取得や住民説明で避難者と会う際、担当外の賠償や帰還の問題でも国の代表として住民から厳しい態度をとられることが多く、「報告を受けるリーダーが重荷を感じてしまう」と明かす。
 国への不信感が出先に集中する中、出先の職員は本省への不信を募らせる。出先職員からは「知らないうちに本省の方針が変わることが増えた」との声が聞こえてくる。国、出先、町の意思疎通は原発事故後3年近い今もいびつなままだ。
 同省が町の除染の完了時期を示したのは結局、当初の完了予定まで3カ月と迫った昨年12月末だった。
 富岡町から郡山市に避難する筒井康弘(67)は昨年6月の計画で国が14年3月完了にこだわったことで「除染も政治なんだと思った」と話す。「参院選が(昨年7月で)近いため、遅れを見せたくなかったのでは。除染が住民のためと思えなくなってくる」(文中敬称略)

(2014年2月5日 福島民友ニュース)



( 2014年2月5日付・福島民友新聞掲載 )
 

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