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「運動不足」仮設暮らしで“蔓延” 若い世代にも「肥満」傾向
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飯舘村民が暮らす福島市の仮設住宅。体を動かす機会がないことを憂う声が上がる
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「筋肉がほとんどなくなっちゃったじゃないですか」。三春町の仮設住宅で避難生活を送る葛尾村の松本勝昭(69)は2月、旧知のマッサージ師に驚かれた。
増える要介護認定
雪かきで腰と肩を痛め、マッサージ店を訪れた。「村で農作業をしていたころは体は丈夫だったが、今は力仕事といえば雪かきぐらい。意識して歩くようにしてはいるけど、こんなところに閉じ込められていてはね」。将来村に帰っても、野菜作りを再開できるか、確信が持てないでいる。
不自由な仮設暮らしで避難者に運動不足が蔓延(まんえん)し、体を動かさないことで「生活不活発病」の増加も指摘される。避難中の町村では事故後、要介護認定を受ける人が大幅に増えた。
外で遊ぶ機会減少
避難の有無にかかわらず、運動不足は若い世代にも広がる。文部科学省の学校保健統計調査によると、放射線への不安に伴い屋外で遊ぶ機会が減少したことで、県内の子どもは6〜17歳の多くの年齢で肥満傾向児の割合が全国最高だった。
原発事故で懸念される放射線よりも大きな、がん増加要因と指摘する声もある。2月に開かれた放射線と甲状腺がんに関する国際集会で国際がん研究機関(フランス)のがん疫学者ヨアヒム・シュッツは「放射線不安などに伴う運動不足もがんにつながる。がんが緩慢に発達することを踏まえれば、今から予防策に当たる必要がある」と語った。
福島市の仮設住宅で暮らす飯舘村の大久保喜弥(きや)(61)の父は、村では農業を営んでいた。避難後は仮設の敷地内を散歩するのが日課だったが、日に日にその距離は短くなった。2011(平成23)年12月のある朝、トイレでうずくまっているのが見つかり、搬送先で死亡が確認された。93歳。「体を動かさないことがこたえたんだと思う」
3年たっても不自由な生活は変わらず、健康を保つのは容易ではない。だが、原発事故からの被害回復に責任があるはずの国は、東京オリンピック開催が決まって以降、浮かれていると大久保には思える。「東京にいたら、われわれの苦痛なんて想像できない。総理大臣でも他の大臣でも、一度ここに来て住んでみたらいいんだ」(文中敬称略)
(2014年3月8日 福島民友ニュース)
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( 2014年3月8日付・福島民友新聞掲載 )
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