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原発災害・「復興」の影
風に惑う
 
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海外反応“悪循環”続く トラブルの度、本県への不安復活

海外反応“悪循環”続く トラブルの度、本県への不安復活

除染について担当者から説明を受ける短期留学の学生ら。留学終了後、「ここにまだたくさん人がいることを伝えたい」と感想を寄せる人もいた=1月、福島市(福島大提供)

 「福島のことをどう説明しても、親は『心配だ』と言うばかりだった」。福島大(福島市)で3月25日行われた卒業式に臨んだ中国・南京出身の留学生陳華駿(ちんかしゅん)(23)は、原発事故後の古里の両親とのやりとりをそう振り返った。この春、4年間過ごした本県を離れ、埼玉大大学院に進学。福島を離れることを両親は喜んでいるという。
 中国・青島出身の王伊鵬(おういほう)(24)は福島大在学中に起業。卒業後も福島市に残る。式に出席するため来日した母(52)は、原発でトラブルが続く本県で息子が暮らすことに「親だから当然心配。でも日本を信じている」と一言。王はそんな母を見ながらこう話した。「中国では福島について、悪いニュースしか流れませんから」

 正確な実情伝わらず
 先進国日本で起きた原発事故は世界に衝撃を与えた。あれから3年。復興へ歩む本県の実情が他国に正確に伝わっているとはいえない。その現状が危惧されている。
 「アメリカでは、福島第1原発で汚染水漏れなどのトラブルがあると『西海岸の海産物が危ない』などと、自国への影響が誇大に報じられる」
 同大国際交流センター副センター長ウィリアム・マクマイケル(31)は指摘する。「悪い影響」が伝えられる度、現地の本県はより危険だとの印象も復活することになる。「まさに風評被害のスパイラルだ」
 事故後、福島大では留学生が半減した。本県の実情を知ってもらおうと年に数回、10日間程度の短期留学事業を行い、海外の学生を除染現場や仮設住宅に案内している。
 1月に実施した短期留学には、放射線医学を専門とする米コロラド州立大の学生も参加した。マクマイケルは「放射線について専門的知識を持っているはずの学生でさえ、先入観があった。『福島』という名前が原発事故と結び付いていて、本県に今も多くの人が住んでいることなど、当たり前の事実にも驚く学生がいた」と振り返る。

 来県機会増やすしか
 「福島についての情報が限られている海外での風評を払拭(ふっしょく)するというのは難しい。海外の人が福島に来て現地を見る機会をもっと増やすしかない」。マクマイケルはそう指摘し、付け加えた。「気の遠くなるような作業ではあるが」(文中敬称略)

(2014年4月2日 福島民友ニュース)



( 2014年4月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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