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工業製品の敬遠…今も 風評根強く放射線検査やめられず
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県ハイテクプラザで行う工業製品の残留放射線量検査。今も毎日のように製品が持ち込まれる=郡山市
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「人が直接触る製品を中心に、いまだに本県で製造する製品への嫌悪感は存在する。背景にあるのは、放射線についての誤った知識だ」。県内企業を対象に工業製品の残留放射線量を検査する県ハイテクプラザ技術開発部長、小川徳裕(55)は、本県の実情とかけ離れた風評の存在を指摘する。
自然界と同じレベル
原発事故直後、県内で製造された工業製品への不安が高まったことをきっかけに検査を開始。郡山市の同プラザといわき市のいわき技術支援センターで受け付け、検査結果を発行する。
検査では、測定器に1分間に入ってきた放射線の数(cpm)を計測。事故直後は数千cpmという数値が出たことがあった。しかし、2012(平成24)年度以降は2桁台中心の数値で、自然界の放射線レベルと変わらない。
全品検査を求められ
自然界と同水準の放射線しか計測されなくなって2年が経過したが、今でも毎日、検査を求め製品が持ち込まれる。小川は「木材加工業者が、タンスなど家具の材料となる製材品を持ち込むケースが多い。納品先の関東地方のメーカーで、放射線の『全品検査』を求めている企業もある」と明かす。
製材品をめぐっては、県木材協同組合連合会が毎時0.033マイクロシーベルトに相当する1000cpmを自主管理基準値として設定した。県内各工場で出荷の際に計測し、基準値を下回っていることを確認している。背景には、風評の完全な払拭(ふっしょく)に至っていない現状がある。東白川郡の木材が集まる塙町の奥久慈木材流通センター所長の菊池衛(47)は「原発事故を機に木材を買いに来なくなった県外業者は、今も来ない」と明かす。「販売先が敬遠しているから、福島の木材は買えない」と説明する業者もいたという。
風評被害は、県産食品や本県観光だけでなく、工業製品に対しても一部で継続しているのが現状だ。「正しい知識が周知され、一日も早く検査をしなくていい日が来ればいいと思う」。小川は希望を語ると同時に、風評の根強さにも言及する。「需要が完全になくなるまでは検査を続けるしかない。今後1、2年で終了することはないだろう」(文中敬称略)
(2014年4月4日 福島民友ニュース)
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( 2014年4月4日付・福島民友新聞掲載 )
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