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「再生エネ」に“外資の影” 撤退時のリスク検討が必要
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元ゴルフ場予定地を地図で示す須藤課長。外資進出にリスクも指摘されている
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「まさか外資にも狙われているとはね」。西郷村の企画財政課長須藤清一(59)は、村の地図に目を落としてつぶやく。
バブル崩壊で長年「塩漬け」になっていた同村北部の元ゴルフ場予定地。中国企業が土地の所有権を取得、大規模な太陽光発電を計画しているのを村が把握したのは、今年初めのことだった。
中国企業が所有権
村によると、中国企業は元予定地約130ヘクタールのうち約60ヘクタールを昨年末に入手。土地の権利は元の地権者から中国企業に移るまでの1週間で複数の会社に渡っていた。須藤は「土地ブローカーが動いたのでは」と疑う。取得の際は国土利用計画法に基づき県への届け出義務があるが、中国企業はそれを怠った。村がその動きに気付いたのは、外資の動向に詳しい東京都の研究者から指摘を受けたからだ。
国は、電力会社が太陽光など再生可能エネルギーを一定価格で引き受けることを義務付けた固定価格買い取り制度を2012(平成24)年7月に導入。原発事故を受けて再生エネ導入が活発な県内でも、首都圏の大企業を中心に、大規模発電施設を設置する動きが進む。外資も流れに相乗りするが、「制度終了後の土地利用も話し合うべきだ」とリスクを指摘する声も上がっている。
具体的な説明なし
中国企業から村や住民には、事業の開始時期など具体的な説明はなく、同社の東京の事務所担当者は取材に対し「まだ説明会をできる状況にない」と話す。地元の不信感は高まりつつあり、予定地近くに住む村の元助役白岩寛(76)は「外資だと何をするか分からない。計画を説明してほしい」と不安を口にする。ただ、その進出を縛る法律はない。須藤は「村と協議して事業を進めることを会社側に申し入れするしかない」と話す。
「投資効果もあり、外資だから一概に悪とは決められない」と、産業技術総合研究所が郡山市に開設した福島再生可能エネルギー研究所で所長代理を務める近藤道雄(57)は前置きした上で指摘する。「日本の大企業であれば、信用問題があるから丁寧な対応が望めるが、外資は割とドライだ。パネルを産業廃棄物のような状態にして撤退しないかなど、リスクを考える必要がある」(文中敬称略)
(2014年6月1日 福島民友ニュース)
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( 2014年6月1日付・福島民友新聞掲載 )
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