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原発災害・「復興」の影
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増える業務“職員限界” 「浜通り敬遠」人手不足が深刻化

増える業務“職員限界” 「浜通り敬遠」人手不足が深刻化

膨大な復興業務に当たる南相馬市職員。事故から3年が経過しても仕事は減らない=2日、南相馬市役所

 「職員の早期退職については、理由を精査してみないと何とも言えない部分があって」。南相馬市総務課長の新田正英(51)は手元の資料に目を落としながら言葉を選ぶ。資料には早期退職者の数とともに、「家族の避難」などと市側が推測した退職理由が書かれている。大津波と原発事故避難、放射能問題と激務が続いたからか、「震災対応による疲労」という記載もある。

 市民から罵声浴びて
 同市では震災・原発事故の後、200人の職員が早期退職している。このうち震災後1年の2011(平成23)年度の退職者は105人。震災前の09年度の退職者29人と比べれば3倍以上という急増ぶりだ。
 原発事故当初、県出先の相双地方振興局で同市の支援に当たった金子市夫(50)は話す。「震災前の数倍の業務をこなしているのに、不満が募る市民からは『こんな役場などいらない』などと罵声を浴びていた。辞める職員がいるのは当然」。市は離職に歯止めをかけようと心のケアなどに取り組むが、職員の業務量は高止まりしており、抜本的な対策とはなっていない。

 「土木系の即戦力を」
 事業の増大に対しては、他自治体からの応援職員派遣や、新採用の任期付き職員でしのいでいる。「ノウハウが必要な仕事ばかりではない。任期付き職員で対応できる業務は多い」と新田は言う。しかし、庁内からは「(経験の少ない)任期付き職員にも助けられてはいるが、やはり即戦力となる応援職員がありがたい」という本音も聞こえてくる。特に土木など技術系職員は民間の需要も高く、その影響で不足は深刻だ。
 同市の場合は、第1原発から20キロ圏の小高区が避難区域になったことや、30キロ圏の原町区が一時、緊急時避難準備区域になったことで、市外に流出した労働人口が多く、新たな職員のなり手も少ないという特殊事情も人材難に拍車を掛けている。
 同市で事故直後の職員らの置かれた境遇を目の当たりにした金子は現在、県市町村行政課長として、他県から同市などへの応援職員の確保、調整などに当たっている。市町村からの要望に対する応援職員の充足率は本年度当初で約9割。前年度から1割近く上昇しているが、それでも「本県の原発事故という特殊要因がどうしてもつきまとう」と金子は明かす。「家族とともに赴任する場合、浜通りはどうしても敬遠される面はある」(文中敬称略)

(2014年6月3日 福島民友ニュース)



( 2014年6月3日付・福島民友新聞掲載 )
 

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