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“孤独死は防げるのか” 建設急ぐ復興住宅、懸念する声も
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郡山市喜久田町で建設が進む復興公営住宅。孤独死など復興住宅で起きる震災関連死を懸念する声がある
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「ご近所と交流できるような造りなら、孤立してしまう人も出てこないと思うんだけど」。福島市の仮設住宅で避難生活を送る浪江町の杉本時子(76)は、市内に建設予定の復興公営住宅への入居を希望するが、心配も抱えている。独り暮らしの入居者が誰にもみとられずに亡くなる孤独死は仮設で相次いでいるが、復興住宅ではどうなのか。4階建ての集合住宅と聞いた。
全体で4890戸整備計画
県は現在、国の交付金を使い復興公営住宅の建設を急ピッチで進めている。全体で4890戸を整備する計画で、うち3700戸は2015(平成27)年度までの入居を目指す。
先の見えない避難生活でのストレスなどに起因する震災関連死が問題となる中、復興住宅でも避難者の孤立を防ぐ対策が必須だ。だが、阪神大震災で復興のための街づくりに携わった福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員の間野博(66)=都市計画=は「高齢者に配慮した住宅が求められるが、十分でないと感じる。このままでは孤独死は大きく問題化する」と危機感を隠さない。
阪神大震災でも多数建設された復興住宅での孤独死は昨年までで800人を超え、今も兵庫県に暗い影を落とす。復興過程の被害という意味で「復興災害」と呼ばれる。
阪神の「失敗」と同じ
「復興住宅での孤独死への懸念は建設当初から叫ばれていた。近所付き合いがしやすい住宅プランなどを提案する意見もあり、防げたはずの“災害”だったといえる。『とにかく早く造る必要があった』というのが行政の言い分だ」。間野は阪神での「失敗」を明かし、こう続ける。「福島でも行政は『急げ急げ』の大合唱。当時と同じ状況ではないか」
間野は「入居を心待ちにしている避難者も多いので仕方ない面もある。だが今、立ち止まって計画を再考する時期に来ているのは間違いない」と指摘する。
仮設暮らしが4年目に入った杉本だが、復興住宅の建設は拙速に進めるべきではないと考える。「復興住宅の建設は高齢者など避難者の要望を聞きながら進めてほしい。建設を急ぐことで、孤独死を生むような建物になってしまっては元も子もない」(文中敬称略)
(2014年6月4日 福島民友ニュース)
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( 2014年6月4日付・福島民友新聞掲載 )
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