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原発災害・「復興」の影
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“財布のひも締める国” 復興予算の確保、町の存亡を左右

“財布のひも締める国” 復興予算の確保、町の存亡を左右

全町避難から3年が経過した浪江町。復興には予算確保が切実な課題だ

 「浪江や富岡はうるせえと思ってっぺな」。浪江、富岡両町の復興関係職員らが原発事故後初めて5月に開いた意見交換会。富岡町企画課長の菅野利行(56)が明かす。「そりゃあ国への思いもいろいろ出たよね」
 
 国に強く物言う両町
 中間貯蔵施設の問題こそないが、町全域が避難区域の両町は、帰還の見通しがないまま帰還か移住かの判断を迫られている。支援の在り方や除染をめぐり環境省や復興庁に強く物を言うところも似ている。出席者らはすぐに意気投合、冒頭の発言も飛び出した。
 政府が定めた復興期間10年のうち、25兆円の予算を投入する前半5年の集中復興期間は来年度で終わる。復興庁は「必要な事業は継続する」として、復興交付金の延長などを視野に入れるが、財源確保はできていない。「国が将来的にも予算を出してくれるのか、不安は間違いなくある」と浪江町復興推進課長の宮口勝美(59)は言う。
 25兆円のうち本年度までに23兆円を消化。国は財布のひもを締めつつある。宮口らが策定した町復興計画については今後、国との交渉になる。「国は根拠をしっかりしろと言う。工業団地造成にしても、どんな企業が来る予定なのかと聞いてくるが、事業化が決まらないままの誘致は難しい。鶏が先か、卵が先か」
 
 地方交付税にも課題
 町の基礎的な運営資金となる地方交付税も頭の痛い問題だ。交付税は人口に応じて算定される。仮に町が帰還し住民が減っていたら算定をどうするのか、宮口らは国に何度も尋ねたが、具体的な回答はない。「これでは町が帰っても投げ出されかねない。(復興に)一番大事なのは金だから」
 復旧・復興が進められない避難区域を中心に重くのしかかる復興と金の問題。宮口を支える同課長補佐の清水中(なか)(52)は「この町をつぶしていいと国民に思われたら復興への予算措置は難しい。町を残す価値を全国に示していくことが重要」と世論の後押しが必要な局面が今後あると予想する。
 清水は冒頭の会には参加していないが、職員らが愚痴に込めた意味は分かる。「国がわれわれをうるさいと思うのなら、それは褒め言葉だと思えばいい」。金はどうなるか分からないが、人はいる。そんな自負が言葉ににじんだ。(文中敬称略)=「費やす」おわり

(2014年6月7日 福島民友ニュース)



( 2014年6月7日付・福島民友新聞掲載 )
 

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