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原発災害・「復興」の影
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反原発デモに違和感や反感 「福島差別」を助長した側面

反原発デモに違和感や反感 「福島差別」を助長した側面

「原発いらない」の掛け声に合わせてペンライトを揺らすデモ=6月、東京・国会議事堂前

 「原発いらない。子どものために、未来のために」。毎週金曜日に、東京・首相官邸前を中心に行われている反原発デモ。参加者らは太鼓や鈴のリズムに乗せて叫ぶ。「ドラムをたたこう。みんなの声で原発なくそう」。主催者側はこれを「怒りの表現」とするが、この行動に違和感や反感を抱く人たちがいることも確かだ。
 大飯原発(福井県)の再稼働が焦点となった2012(平成24)年夏に20万人(主催者発表)まで膨れ上がった参加者も、現在は毎週2000〜3000人(同)。デモでは、参加者がマイクを握って官邸に向かって思いを述べる。当初は「そんなところ(郡山)に子どもを住ませるな」など、本県が悲惨な状況だと強調する発言が目立った。参加者の減少もあり、今ではそうした発言は減ったが、それでも、風評払拭(ふっしょく)の動きを指し「食べて応援なんて絶対だめ」などという言葉が聞こえてくる。

 当事者の意識が希薄
 主催者団体主要メンバーのミサオ・レッドウルフはこうした福島に対する発言について「原発事故に県境はないが、自分も事故の当事者という意識が希薄な人がいる」と認める。しかし、主催者側は参加者の発言に寛容だ。背景には、運動の継続がある。一口に反原発といっても、健康への影響や原発への考えはさまざまで、それを表面化させればデモは行き詰まるとみられる。「デモをやめれば、反原発の思いが消えたと解釈される。続けるのが重要」とレッドウルフは言う。
 県内では、デモを中心とした反原発運動を冷ややかに見る向きが多い。田村市の農業坪井和博(66)は脱原発の立場だが「首都圏のデモには違和感を感じている」と明かす。「声を上げるのは大事だが、どうしたら原発をなくせるか、政治や世論をどう動かすか考えるべき。自己満足に終わっているんじゃないか」

 人ごとの態度に反感
 福島大特任研究員の開沼博(30)は、反原発デモが「福島のためと言いながら、一方で『あんなところ住めない』とか『障害児が産まれまくっている』とか平然と言う人が(運動の)内部にいることが、嫌悪感すら呼び起こしている面がある」と解説し、運動に漂う、人ごととして福島事故をみる態度が反感の背景にあるとみる。「反原発の活動、言動が福島差別を助長してきた面はある。社会運動として非常にまずいことをした」(文中敬称略)

(2014年7月2日 福島民友ニュース)



( 2014年7月2日付・福島民友新聞掲載 )
 

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