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「絵空事」の復興計画 住民は“古里の将来”を重ねられず
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復興拠点整備のプランに目を落とす渡辺町長。町村単位の復興計画には限界も感じている
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「双葉郡の町村の復興計画は国の都合で作らされたもの。将来の展望が見えない区域も作ったため、内容が絵空事のようになってしまっている」。福島大行政政策学類教授の今井照(61)はこう指摘する。
各町村が策定する復興計画は、帰還に向け住民の思いをつなぎ止める役割が期待されたはずだった。しかし、震災から3年余が経過しても、除染や避難指示解除など将来の行方が不透明な町村がほとんどで、住民は復興計画と古里の将来を重ねられずにいる。復興計画は、各町村が住民の意見を踏まえ、主体的に策定するのが建前だが、今井の見方は異なる。
国予算優先で一律に
「復興交付金の大枠は決まっているからと、帰還の時間軸が違う町村も一律で作らされた。国のお金の出し方が優先された」とした上で、こう考える。「補助金のメニューは決まっているから内容は網羅的で、同じような計画になる。先行きが分からないなら、『将来的にも復興予算を確保する』と国が担保すべきだ」
双葉町から郡山市に避難し町復興推進委員を務める養蜂業小川貴永(43)は、自身も策定に関わった町復興計画を冷ややかに見ている。「中間貯蔵施設設置の候補地となり、その行方が分からない中で議論しても机上の空論だ」
自治体単位には限界
大熊町長の渡辺利綱(66)は、自治体単位の復興計画に限界を感じ、双葉郡8町村合併の検討の必要性をさまざまな機会に口にしてきた。「双葉郡の具体的な将来図を住民に示すことが大切。帰還に向け公共施設の効率的な配置などを検討する必要があるが、合併すればそれもスムーズにいく」という思いからだ。ただ、渡辺は、以前は町村長の会合などでも少なからずあった合併の議論が、最近は少なくなったように感じている。「中間貯蔵施設や賠償などそれぞれが抱える問題が進展し、自分も含め合併どころの話ではない」
政府は昨年末、全員帰還の方針を転換、移住する人も支援する方針を打ち出した。しかし、今井は違和感をおぼえる。「『今ではなく将来は帰る』という3番目の選択肢もある。先行きが分からないなら、避難を続ける人も手厚く支援しないと」
小川も同様の疑問を抱く。「古里への(将来の)帰還を夢見る人が支援を受けられないなら、復興計画が『棄民政策』に見えてしまう」(文中敬称略)
(2014年7月5日 福島民友ニュース)
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( 2014年7月5日付・福島民友新聞掲載 )
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